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マニュアルトランスミッション
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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
マニュアルトランスミッション
ボディタイプ
外装色
スピードイエロー
年式
1994 年型
走行距離
41.000km
乗車定員
2 名
サイズ
長 424 cm 幅 166 cm 高 131 cm
エンジン形式
排気量
3600 cc
馬力
250
トルク
31.6
車検
令和8年11月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック×グレーバケットシート
燃料区分
ガソリン
幌色
ブラック

1954年に、ポルシェが初めて「スピードスター」を生産するきっかけとなったモデルが、1952年に僅か16台が製作された「アメリカ・ロードスター」となる。シュツットガルトで工作機械メーカーを経営するハインリッヒ・ザウターは、1950年にレースに参戦する目的で自身で購入した「ポルシェ356」に対して、排気量1100ccのエンジンに対してそのボディが重すぎるという印象をもっていた。ザウターは翌年「356カブリオレ」を増車し、シュツットガルトのボディショップでオリジナルボディを架装する。スチール製のこのボディは、フロントマスクは「356」に似たデザインをもつが、低く幅の狭いフロントウィンドウ装備し、前面投影面積を小さくしていた。ウェストラインがドアからリアボディの前半部にかけてなだらかに下降し、リアホイールアーチ部で再び盛り上がりを見せるのが特徴のボディだった。ドアはリア・ヒンジで、サイドウィンドウとリアシートが装備されないこのモデルの車両重量は600kgと軽量で、搭載されるエンジンは1500ccに拡大されていた。レースやラリー、ヒルクライムにエントリーするが好成績を残せなかったこのモデルに興味を持ったポルシェは、このモデルを購入し、これをヒントに開発されたのが1952年に完成した「アメリカ・ロードスター」となる。そのボディデザインはザウターのものが継承され、ドアはフロント・ヒンジに、フロントウィンドウはボディ幅いっぱいに広げられ高さのあるものに改められていた。ボディ製作は得意先のロイター社が設備や人手に余裕が無く、アルミボディ製作のノウハウを持たない事から、グレーザー社に依頼される。搭載されるエンジンは空冷水平対向4気筒OHV1488cc(type528)で、70馬力を発揮し、最高速度177km/hを標榜する。アルミフレーム製の軽量なバケットシートを装備、コンペティションユースを意識し、フロントウィンドウは脱着式でアクリル樹脂製サイドウィンドウと簡素なソフトトップを装備し車両重量は600kgに仕上げられている。レース用オプションで小型ウィンドウスクリーンや、フロントフードを固定する革製ストラップ、メッシュ式ヘッドライトガードが用意され、ブレーキは11インチ径のアルミ製の冷却フィンのあるタイプが採用されていた。このモデルは、ヨーロッパに於いてはその存在すら公にされず、全てがアメリカ市場に向けられていた。1950年から「ポルシェ356」を輸入販売していたニューヨークのインポーター、マックス・ホフマンはかねてからポルシェに対して、よりスパルタンなロードスターモデルの開発を懇願していた。この人物はオーストリア生まれのドイツ系アメリカ人で、メルセデスベンツには「300SL」の製作依頼を、BMWには「503/507」の製作を依頼した人物でもある。第二次世界大戦後、世界で最も裕福な国となったアメリカでは、広い国土をもつことから豪華で大型、大排気量でイージードライブの車両を富の象徴としてきた。しかし戦後ヨーロッパから持ち帰った、本格的なスポーツモデルを走らせる楽しみを知ると、それを使った文化が大きな広がりを見せていた。戦後設計となる「ジャガーXK120」をはじめ「ポルシェ356」はそういう北米市場で売り上げを伸ばしたモデルとなる。ポルシェが製作した「356」より更に高性能な「アメリカ・ロードスター」は、ホフマンの要求を満たしていたが、専用のアルミ製ボディを持つことでロードモデルとしては高額すぎた。ホフマンはより販売拡大しやすい価格の「ロードスター」モデルの開発依頼を続けることになる。ようやくポルシェがその要求に応えたモデルが19549月に発表される「356スピードスター」となる。軽量化と速さによりもたらされる「スピード」と「ロードスター」をかけた車名をもつこのモデルは「アメリカ・ロードスター」と「356カブリオレ」の中間に位置するモデルで、装備を減らす事で軽量化し、結果としてスパルタンで高い性能を得ていた。ボディは「カブリオレ」をベースにロイター社が製作、フロント部分のデザインは「カブリオレ」と共通だが、ウェストラインは後方に向かってやや下降しながら、ドア、リアフェンダーへと続く。コックピットエリアは小さくなる為、リアカウルは「スピードスター」専用で、エンジンフードとリアカウルは「カブリオレ」と共通パーツとなっている。メッキ仕上げで取り外し可能なフロントウィンドウは「カブリオレ」に比べると明らかに低く、丸みをもたされた特徴的なデザインとされる。ソフトトップは簡素で軽量なもので、ドアには巻き上げ式のウィンドウは無く脱着式のアクリル樹脂製サイドスクリーンが付属し、簡略化されたドアトリムにはドアハンドルもポケットも無い。ボディと同色の新デザインのダッシュボードにはスピードメーターとタコメーター、油温計が並び、助手席前にアシストグリップが付けられ、メーター類の上に僅かに半円形の“ひさし”が付けられ、極めてシンプルに仕立てられている。シートは小型軽量なバケットタイプでリクライニング機構は無く、バックレスト、サンバイザー、遮音材までもが省かれている。灰皿やグローブボックスすら無く仕上げられた「スピードスター」は、同時期の「カブリオレ」より100kgの軽量化が図られ車両重量720kgとなる。搭載されるエンジンはラインナップ中、最大の排気量をもつ空冷水平対向4気筒OHV1488ccで、55馬力(546)を発揮するスタンダードモデルの「1500」と、ハイスペックの70馬力(528)を発揮する「1500S」が用意された。同型の70馬力エンジンを搭載するクーペモデルが060mph加速15.0秒だったのに対し、13.9(1500S)という俊足を誇った。「356スピードスター」は高い性能を得る為に装備を減らすことで、ニューヨーク渡しで2995ドルというポルシェ生産車の中で、最もリーズナブルな価格で販売され、その優れた性能が注目が集める。スポーツカーの楽しみに目覚めた北米では、自らプロダクションレースにエントリーする人々に支持され「356スピードスター」は順調に販売を伸ばすことになる。北米で人気を得た「356スピードスター」は、当初北米のみでの販売が予定されていたが、1955年に入るとヨーロッパでの販売も開始され、1958年まで生産されることになる。シャーシNo.80126の「ポルシェ356スピードスター1500S」。1954年の秋にポルシェ工場をラインオフしたこの車両が翌年2月、カリフォルニアのポルシェ・ディーラー「ノイマン・コンペティション・モータース」に到着。すぐにオーナーの俳優ジェームス・ディーンに引き渡された。15歳の時に叔父からもらったバイクに夢中になり、スピードの虜となった彼の四輪デビューは友人の「プリマス」で、ドライビングの腕を磨きそのテクニックは仲間の称賛を浴びる程となる。ニューヨークに移り、売れない役者時代に出演したブロードウェイのショーで、映画監督のエリア・カザンの目に留まり、ワーナーブラザースと最初の映画出演契約を結ぶ。最初の主演映画「エデンの東」クランクイン直後に赤い「MG-TD」を購入。この時代のクロームで飾られた鈍重なアメリカ車では無く、ヨーロッパ製スポーツカーに心を奪われた彼のデビュー映画は絶賛を持って迎えられる。一夜にしてスターダムにのし上がる彼が、一年待たずに新たに購入したのが白の「ポルシェ356スピードスター」だった。納車から僅か一週間で走行距離は1000マイルを超える程、夢中で走るジェームス・ディーンがそのステアリングを向けたのは、ロサンゼルスを眼下に一望出来るマルホランド・ドライブ、西海岸随一のワインディングロードだ。そのドライブへの情熱はそのままプロダクションレースへのエントリーへとつながり、次の映画「理由なき反抗」の撮影目前の19553月下旬、パームスプリングスで開催されるレースに参戦する。「356スピードスター」での土曜日の予選では、いきなりトップタイムを刻みポールポジションを獲得。翌日の27周で競われる決勝レースでは2位に入賞し、レース関係者を驚かせてみせた。続く4月末に映画撮影の合間にエントリーしたベイカーフィールドでのレースは、雨の中、予選ではクラス3位を獲得。「フェラーリ750モンツァ」や「アラード」など大きなエンジンを搭載する車両も参戦する中、同型の「ポルシェ356」に僅かに遅れ決勝では9位に甘んじる。3戦目となる5月末のサンタバーバラでのレースでは、予選は振るわず18位、決勝ではスタート直後にトップグループに追いつくがスピンしてコースアウト。そこから果敢な追い上げを見せ4位まで進出するが、エンジンをブローさせてリタイアに終わる。悔しさ溢れる彼は「スピードスター」のエンジンをオーバーホールする際にチューニングを施すか、次の車両に乗り換えるか思案に暮れていた。「ノイマン・コンペティション・モータース」では既にポルシェが新たに発表した最新モデル「550スパイダー」を確保していた。ジェームス・ディーンはこれに乗り換える事を選択し、次の新作映画「ジャイアンツ」が撮了する9月に納車予定が決まる。その後、撮影予定の「傷だらけの栄光」の主演もアナウンスされていたが撮影が開始される事は無かった。「理由なき反抗」の撮影開始と時を同じくして入手した「356スピードスター」は、戦後世代の当時最先端のエンジリアリングでポルシェが開発した、誰もが憧れるスポーツカーのトップモデルだった。それ以前に彼が購入した戦前のメカニズムをもつ旧世代の「MG-TD」のドライブ感覚からはかけ離れた世界を見せてくれたに違いない。そのスピード感の大きな革新は、一夜にしてスターダムにのし上がった彼自身の加速度とも重なるものだったのかもしれない… 「ポルシェ356スピードスター」の後、30年の時を隔てて「スピードスター」の車名が再びポルシェの生産車にラインナップされるのは、19879月のフランクフルトショーとなる。「911カブリオレ」をベースに低いフロントウィンドウと2シーター化による軽量化、コックピット後方にはFRP製ダブルバブル型フェアリングにより空力的な配慮も施された「911スピードスター」のプロトタイプが発表された。搭載されるエンジンはベースモデルと同様の1984年〜1989年迄作られた3.2・空冷フラット6(930/21)の「カレラ・ユニット」とされるこのモデルは、モデル末期の1989年に生産がアナウンスされ、フロントウィンドウの無い「ハード・トノカバー」を備えた「クラブスポーツ・バージョン」も同時に展示された。「930」型のモデル末期に生産された「911スピードスター」は同型のクーペモデルに対して70kg軽量化が図られ「ポルシェ911ターボ」と同じワイドなフェンダーが採用された「ターボ・ルック」メインとしていた。これは迫力あるボディのみに留まる事なく「911ターボ」と同様の足回りとブレーキをもつことにより、軽量化と併せてより高い性能を求めた結果ともなっている。それは明らかに「356スピードスター」の後継車というだけでなく、時を経て「911」のもつ本来のスポーツ性能を再確認させるとともに更なる可能性を表現したモデルでもある。2世代目「911スピードスター」は、ナローなカレラ・ボディで仕立てられた171台を含む2103台が生産された。今回入荷した1994年型「911カレラスピードスター」は、それ以前のビックバンパー世代から、実に85%もの部分が新設計され、モダンなイメージに生まれ変わった「964」型をベースに開発された第3世代の「スピードスター」となる。「911」が「964」型進化した時に、サスペンション型式変更と4WDモデルの追加により、大きく進化したフロアデザインと大幅に強化されたモノコックボディが採用された。それをもって再構築された第三世代の「911スピードスター」はオープンモデルでありながらもドライバビリティにこだわりをみせる「スピードスター」シリーズの中で、高い完成度をもち空冷フラット6エンジンを搭載した量産型「スピードスター」としては最後のモデルとなる。1992年秋のパリサロンでデビューを飾る3世代目「911スピードスター」は「スピードスター」シリーズの伝統に従いフロントウィンドウは約30mm低くされ、そのフレームは細く両端は特徴的なラウンドしたデザインが採用されている。コックピット後方には、ソフトトップ・カバーとしての機能とオープン時に後方からの風の巻き込みを防ぐウインド・ディフレクターとしての機能を備えたダブルバブル型のフェアリングが装備されている。専用のコックピットデザインは、初代「356スピードスター」の雰囲気が再現され乗員2名とされるのは、これまでの「スピードスター」シリーズと変わらない。公式な車両重量データではクーペモデルと同様の数値がカタログ上では表記されるが、これ迄の「スピードスター」と同様に軽量化にも配慮され、クーペより30kg、カブリオレより50kg軽く仕上がっている事を語る開発エンジニアの発言を裏付けるほどの軽快な一面も味わえる。ステアリングはシンプルな3スポークが採用され、そのコックピット回りは、限定生産された「964型カレラRS」から軽量パーツを移植している為、初代の「356スピードスター」と同様の軽量な成り立ちをもつ。スポーツカーとしての基本性能にラグジュアリーなオープンスタイルをもつモデルが「964カブリオレ」だとすれば、より純粋に運動性能とドライバビリティを追求したオープンモデルが3世代目の「911スピードスター」だといえるだろう。2世代目の「911スピードスター」と同様に、ワイドボディをもった「ターボルック」モデルの15台を含む、936台が生産されるたいへん貴重なモデルとなっている。911カレラ2スピードスター」に搭載されるエンジンは、ベースとなる「964」型「911カレラ2」に搭載される「M64型」とよばれる空冷水平対向6気筒SOHCで、ボア×ストローク100.0mm×76.4mmから3600ccの排気量を得る。11.3の圧縮比をもちボッシュ・モトロニック燃料噴射装置を装備、各気筒スパークプラグを2本ずつレイアウトして、最高出力250馬力/6100rpm、最大トルク31.6kgm/4800rpmを発揮する。セラミック・ポートライナーの採用やクランクシャフトの軽量化、マグネシウムパーツの採用などにより軽量化に配慮されたドライサンプエンジンとなっている。このエンジンと組み合わされるギアボックスは、ボルグワーナータイプのシンクロをもつ5速マニュアルトランスミッションとなり「964」型から採用される4速トルコン式AT「ティプトロニック」もラインナップされている。足回りは、フロントにストラット式、リアにセミトレーリングアーム式が用いられ、それぞれスタビライザーを装備する。「911」にとってはお馴染みの足回り型式となるが「964」型から採用されるコイル式スプリングが装備されているのはベースモデルと同様。リア・サスペンションにはブッシュの弾性を利用してコーナリング中に、トーアウトを防ぐ「928」に採用されていた「バイザッハ・アクスル」と同様のリア・ステアシステムが用いられている。定評のあるブレーキは、対向4ピストンの軽合金製キャリパーとベンチレーテッド・ディスクが組み合わされ4輪に装備されるとともにABSが付けられている。タイヤサイズはベースモデルの16インチから17インチにインチアップされ、フロント205/50ZR17、リア255/40ZR17サイズが採用されている。ホイールはボディと同色のカラーに塗られフロントに7J、リアは8Jのカップ・ホイールが採用されている。オープンスタイルがスタンダードとなる「スピードスター」ならではの、専用デザインが用いられたインテリアとなっている。「911」では見慣れた奥行きのないダッシュボードには、ボディ同色に塗られたメーター・クラスター・パネルが採用されている。ボディカラーはそれ以外にも、シフトノブからブーツ、サイドブレーキ・レバー、シートベルトにも用いられている。2脚が装備されるバケットシートと、2枚のドアの内張は限定モデルとして登場した「964型カレラRS」と同じデザインが採用され、スパルタンな「RS」モデルと同様のコックピット感覚が再現されるとともに軽量化に貢献している。パワーウィンドウは装備されるが、ドア・ノブはボディ同色のストラップとされ、アームレストは無くボディカラーをあしらった軽量なドアハンドルが装備される。軽量化に配慮されたスパルタンな一面は「スピードスター」モデルならではのものとなる。今回入荷した車両は「スピードイエロー」のエクステリアを持つことから、ブラックとイエローのコンビによるインテリアは、スパルタンともファッショナブルともとれる絶妙なコントラストを見せている。メーターパネルの中央には大型のタコメーターを含む5つのメーターがレイアウトされているのは歴代「911」の伝統となる。タコメーターのレッドゾーンは6800rpmからとされ、スピードメーターは頂上付近に150km/hが置かれるフルスケール300km/hとなるのはベースモデルと同様。ステアリングは軽快なデザインの3スポークのアティべ(ATWE)製となり、エアバックは装備されていない。ステアリングポスト左側に位置するイグニッションキーや、オルガン式となるABCペダル、そのどれもが「911」ならではの装備となっている。ボディ同色に彩られるシフトノブは、前後左右方向ともにシフト・ストロークが短く感じられるもので剛性感に溢れ、二の腕のチカラを少し必要とする。「964型カレラRS」ではステアリングのパワーアシストが外されていたが、この「スピードスター」ではパワーアシストが活かされ、ドライバビリティの向上に活かされるとともに「911」の特徴となる強いキックバックも軽減されている。手動式となるソフトトップは、シングルプライの単純なものに見えるが、構造と造りはしっかりとしていて慣れれば操作はひとりでも可能となる。密閉度は高く、最高速度付近でもバタついたり、風切り音に配慮された造りはオープンモデルをつくり慣れたポルシェならではといえる。全長×全幅×全高は4250mm×1652mm×1280mmで、ホイールベースは2272mm、トレッド前後ともに1374mm、車両重量1350kgとなる。燃料タンク容量は77、最小回転半径は5.6m、新車時販売価格は1185万円(5MT)1285万円(ティプトロニック)となる。正規輸入台数は106台とされ、そのうち5MTモデルは、僅か32台となりたいへん希少なモデルとなっている。メーカー公表性能値は0100km/h加速5.7秒、最高速度260km/hとなり「911カレラ2」のクーペモデルと同じ数値となる。低められ天地の狭いフロントウィンドウと、そこにかけられたソフトトップにより、蹲る様にして停められた「カレラ2スピードスター」は、現代の「911」を思えばかなりコンパクトに感じられ凝縮感がある。幌屋根の位置は低くても、ウェストラインは変わらないので、ドアノブの位置は他の「964」モデルと同じだが、屋根が低くバケットシートが装備されている為、スマートに乗り込むには慣れが必要となる。シートに腰を下ろして見える世界は、幌を閉めた状態だと穴倉から外を見ている様なイメージで、上下に切り取られた世界から「911」ならではの、ヘッドライトへ続くフェンダーの峰を見ることとなる。これが幌を上げると低いウィンドウシールドとそのフレームが細く作られている為、絶大な開放感が得られるのは「スピードスター」モデルならではとなる。コンパクトなキャビンとなるがボディカラーのアクセントが効いて特別なモデルに乗っている感覚は始動前から気分が上がる。他の「911」と同様に左手でキーを回しエンジンをスタートしてみる。幌屋根な事と軽量化の為に遮音材が減らされているせいか、そのサウンドはダイレクトに聞こえる。走り出した瞬間から身のこなしが軽くベースモデルとの差が感じられる。オープンモデルであっても、ポルシェならではのボディのしっかり感は不思議とカブリオレより高くクーペとの差を感じさせない。どんな速度域に於いても乗り心地は快適で、直進性やステアリングの応答性は高い。ワインディングロードに入ると、その軽快感はより明確さを増し、クーペやカブリオレの動きが重いと感じさせる程となる。その上、ルーフが取り去られる事で重心は低くなることから、より安定したコーナーリングが可能で、この走りを味わってしまうとカタログデータ上の車両重量を疑いたくなるかもしれない。パワーウィンドウやエアコン、パワーステアリング等、現代には必要な最小限の装備と、ボディカラーが随所にあしらわれたキャビンの中で、軽快なレスポンスを返してくれるドライブを続けているとスポーツカーらしさをとても強く味わうことが出来る。スピードレンジは違っていても、こういう感覚でジェームス・ディーンも「356スピードスター」でワインディングロードを走り続けていたのだろうかと空冷フラット6の力強い咆哮に包まれながら走る時間は、あっという間に過ぎてしまう。「911カレラ2」がもつオールマイティさは、若干スポイルされたとしても、この「911スピードスター」はスポーツカーとしての爽快感と切れ味の鋭さでは一枚上手で、生粋のスポーツカーへと変貌を遂げている様に感じられる。「911」のもつ空冷パワーユニットやシャーシが備えていたスポーツカーとしての資質を「スピードスター」化されたボディが強調してドライバーにフィードバックしてくれている様に感じられる。964型ボディをもつ「911スピードスター」は、初代「911」に近いボディサイズを持ちながら魅力あふれる「スピードスター」ボディをもつ。飛ばしても流してもマニュアルシフトでエンジンパワーを自在に引き出せる、この「911スピードスター」は、風の存在を感じさせながら、いつの時代にも変わることの無いスポーツカー本来の楽しみをドライバーに語り続けてくれるモデルなのかもしれない