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246GT
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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
246GT
ボディタイプ
外装色
ロッソ
年式
1972 年型
走行距離
89450km
乗車定員
2 名
サイズ
長 428 cm 幅 168 cm 高 115 cm
エンジン形式
排気量
2418 cc
馬力
195
トルク
車検
令和6年8
ハンドル
駆動区分
輸入区分
中古並行輸入
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

フェラーリは1955年、ランチアから「D50」というグランプリ・カーを譲り受ける際、このクルマの開発者であるヴィットリオ・ヤーノもともにフェラーリに迎え入れた。あらゆるカテゴリーのレースに参戦していたフェラーリは、1957年から開始される1.5規定のF2に参戦するにあたり創業者エンツォは、ヤーノや息子であるディーノと知恵を絞って考えたといわれている。エンジニアへの道を目指しボローニャ大学を卒業したディーノは、V6エンジンの可能性を強く推し、F2用エンジンはフェラーリ史上初となるV6となった、とディーノの死後エンツォは述懐している。19566月にディーノが他界し、その5ヶ月後の11月にはV6エンジンはテストベンチで産声を上げ、それは「ディーノ・ユニット」と名付けられた。ランチア時代に世界に先駆けてV6エンジンを作り上げたヤーノはこの「ディーノ・ユニット」にも大きく関与し、当初60°バンクで設計を始めたがレースで必要な大口径キャブレターがバンク内に収まらず、オフセット・クランクを用いて65°バンクとしながらも等間隔爆発を実現する事に成功した。排気量を拡大しながらさまざまなレースで活躍する「ディーノ・ユニット」であったが、国際モータースポーツを統括するCSI1967年、新たなレギュレーションを発表し「F2用エンジンは最大6気筒で1年間に500台以上量産するモデルに搭載されている物に限る」という通達を行った。ロードカーの年産総数700台程しかないフェラーリは、打開策を思案する中スポーツ・プロトタイプの「206SP」の「2・ディーノ・ユニット」を量産する事を決断する。フィアット傘下にあったウェーバー社のフランチェスコ・ベリカルディを仲介しフィアットとの正式な話し合いがもたれ、そこから両社のロードカー製造に関する業務提携が始まった。フィアットはロードカー用にデチューンされた「ディーノ・ユニット」の量産を代行し、自社ブランドのスポーツカーに搭載し、6611月のトリノショーで「フィアット・ディーノ・スパイダー」が、翌673月ジュネーブショーで「フィアット・ディーノ・クーペ」がデビューする。フェラーリはロードカーとして1968年に「ディーノ206GT」を発表し、これでフェラーリはホモロゲーション獲得を達成する。3車種共用となるアルミブロックを持つティーポ135Bとよばれる「ディーノ・ユニット」は65°のバンク角を持つV6エンジンである事と2の排気量は共通ながら「ディーノ206GT」が搭載するエンジンはミッドシップとなる為、エキマニの取り回しやオイルサンプのディテールが異なる。キャブレターもフィアット・ディーノ用はウェーバー40DCNFなのに対し40DCNF/1という専用品が装備された。シャーシは後の「246GT」やその後継となる「308GTB」にもつながるアンジェロ・ベレイを中心としたフェラーリ開発チームによる、伝統の鋼管スペースフレーム構造となる。モデナのヴァカーリ社で製造されたフレームに、スカリエッティ社製アルミボディが架装され、180馬力を発揮するティーポ135Bユニットで車重1040kgのボディを0100km/h加速8.2秒、0400m加速15.5秒と最高速度225km/hという2ロードカーとしては優れた性能を発揮し153台が生産される事となった。しかしエンツォ・フェラーリ自身は市販車部門への興味を失いかけていた時期であり、それに輪をかける様に世界は排ガス規制や車両安全規制が叫ばれる時期でもあった。フェラーリとの利害の一致したフィアットは19696月にフェラーリの株式の半分を手中とし、市販車部門のコントロールを開始、信頼性や耐久性が高く量産しやすい改良型「ディーノ・ユニット」の準備を始め、それは「ディーノ246GT」となって同年3月にジュネーブ・ショーでデビューする。スチール製に改めらたボディは職人による叩き出しからスタンピング・マシーンによるものとなり、2.4に拡大されたエンジンも耐久性に優れた鋳鉄ブロックに変更された。ボディデザインの変更点は少なく、ヘッドクリアランスを稼ぐ為に、全高が20mmプラスの1135mmとなり、バランスを取るようにホイールベースが60mm延長され2340mmとなった。また「ディーノ206GT」ではボディから飛び出したデザインのフィラーキャップが「ディーノ246GT」ではボディ同色のフラップの中に収められた。またエンジン・フード上のスリットも片側6個から7個に改められた。「ディーノ246GT」に搭載されるエンジンは、アウレリオ・ランプレディにより再設計されたティーポ135CS型とよばれる65°V6DOHCエンジンでボア×ストロークが92.5mm×60mmとされ、2418ccの排気量をもつ。ダウンドラフトのツインチョークウェバー40DCNF型のキャブレターを3基備え、9.0の圧縮比から最高出力195馬力/7600rpm、最大トルク23.0kgm/5500rpmを発揮する。鋳鉄ブロック化されたこのエンジンは、乾燥重量134kgとなり僅か4kg重くなっただけで済んだといわれている。組み合わされるトランスミッションは自社製5MTとなり、ロッキングファクター40%となる機械式LSDを装備する。足回りは前後とも、ダブルウィッシュボーン式+コイル+スタビライザーを装備しコニ社製ショックアブソーバーを備える。ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクを装備し、ガーリング製ブレーキキャリパーと組み合わされる。ホイール&タイヤサイズは、前後クロモドラ製センターロック式6.5Jの軽合金ホイールに205/70VR14のミシュランXWXが装着される。「ディーノ246GT」には、大別してタイプLME3種のバリエーションが存在する。1969年から生産されるティーポLと呼ばれる初期型は、それまでの「206GT」のディテールが残され、センターロック式ホイールが付く。またアルミ製ボンネット&トランクフードを持ち、ANSA製マフラー、70L燃料タンクを装備する。1970年からのティーポM型と呼ばれる中期型は、ホイールは一般的な5本スタッド式になる。トランクオープナーが室内に移され、空調コントロールレバーが、ダッシュボードに移設された。またAte製ブレーキが装備された。1971年からのティーポE型と呼ばれる後期型では、トランスミッションが一新され、オプションでエアコンが選択出来る様になった。またティーポE型の途中からワイパーがオープン式からタンデム式に変更された。デタッチャブルトップを持つ「246GTS」はティーポE型と同等の内容を持ち、1972年のジュネーブ・ショーでデビューし、ディーノ・シリーズの約3割を占める生産台数となる。またティーポM型から、フィアットとしては「ディーノ・ユニット」の少量鋳造継続は合理的ではないとの判断からエンジンはマラネロで生産されるようになった。「ディーノ246GT」のインテリアは、車両の大きさを考えれば広く感じられるものとなり、ミッドシップモデルとして全方位に開けたルーミーな視界が効いているのかもしれない。モモ製3スポークステアリングを通して見えるメータークラスターには、ヴェリア製メーターが8個並び、やや上向きとなるステアリングホイールの角度は、フェラーリならではと言えるかもしれない。ゲートを切られた5MTのシフトゲートも同様となり、シートはバックレスト一体式が採用されリクライニングは効かない。ペダル類が近く、ステアリングがやや遠くなる古典的なイタリアンスタイルのドライビングポジションとなっている。全長×全幅×全高は4235mm×1700mm×1135mm、ホイールベースは2340mm、トレッド前1425mm、後1430mm、車両重量1080kg(乾燥重量となり実質1200kgといわれている)。燃料タンク容量70。新車時ディーラー価格900万円(1973年・西武自動車)。生産台数はディーノ246GT2487台、246GTS1274台。メーカー公表性能値は0400m加速15.4秒、最高速度235km/h。カーグラフィック誌による実測データは、海外でポール・フレールによるテストデータが掲載され、0100km/h加速7.1秒、0400m加速14.8秒、01000m加速27.0秒、最高速度233km/hとなっている。「ディーノ246GT」のドアを小さなメッキされたドアノブで開き、シートに腰を降ろすとフロントウィンドウごしに左右の盛り上がったフェンダーが目線の高さにに入る。そして全方向に視界は開け、特にリアクォーターの窓の切れ方はミッドシップモデルとしては異例となる、優れたデザインを実感する事が出来る。エンジン透過音までチューニングされている事がわかる「ディーノ246GT」の心地良いサウンドは人間が耳につく低音域を抑え気味にして中高音域を抽出して柔らかく聞かせる、その音質はミュージックとよべるものとなっている。エンジン特性は、低回転でもとてもフレキシブルで、タウンスピードでの乗り心地を含めて、低速から高速まで快適。これは乗員が重心付近に座っているというポジショニングのせいでもあるが、スピードを増すにつれ、より良くなる傾向を持っている。重めのクラッチながら、全体的にローギアードな5段ギアボックスはフェラーリならではのゲートの切られた丸いシフトレバーをもつ。その為シフトレバーの動きは大きく、素早いチェンジには慣れを要する。加速では同時代のポルシェ・カレラに一歩譲っても、エンジン回転が4500rpmから上にいくにしたがいマフラーとエンジンのサウンドがシンクロし始めると、回転の上げ足を速め素晴らしいサウンドを奏でる。これは「ディーノ246GT」でなければ体験出来ないものと評価が高くファンも多い。また左右のフロントフェンダーはコーナーリング時にクルマを理想的なラインに乗せるのに絶好なガイドとなる。ステアリング・ホイールに添えた手を僅かに動かすだけでノーズは素直に反応を示し、そのまま保舵力が重くなること無く、思い通りにコーナーをクリアしていける。この軽快感は他のフェラーリロードカーではなかなか得られないものといえるかもしれない。2速あるいは3速のフルパワーをかけてコーナーリングしても、前後タイヤは絶妙にバランスし、純粋にニュートラルステアを示す。このハンドリング特性はずば抜けて高く自信を持ってワインディングを堪能する事が出来る。ミッドシップ黎明期にこれだけバランスの取れた挙動に仕上げていたのに驚きを感じる事が出来るだろう。その秀逸なボディサイズと、時代を代表する素晴らしいボディデザインを目の当たりにすると、技術の進化に疑問を感じるかもしれない。スポーツカーに必要なのはドライバーの思いに忠実に反応してくれるエンジンとハンドリング。その上「ディーノ246GT」は魅力的なスタイルとサウンドをもっている。どんなスピード域でも走らせる喜びを実感出来る、こんなクラッシックフェラーリは他には存在しない。