アルファロメオジュリア
ターボディーゼルスーパー
︎1910年創業のアルファロメオは、かつてはミラノの西のはずれのイル・ポルテッロの本社からレーシングカーと高級スポーツカー、GTを送り出す、現在の「フェラーリ」をイメージさせるメーカーだった。第二次世界大戦が終結し敗戦国となったイタリアに於いては、そのアルファロメオも現実的な製品ラインナップへの明確な軌道修正が求められた。この方針に基づき1950年5月に登場したのが、戦後のアルファロメオ黄金期の先駆けとなる「アルファロメオ 1900」だった。戦後のアルファロメオの設計責任者となったオラツィオ・サッタ・プリーガの思想が全て詰まったこの「1900」シリーズは1958年迄カタログに残り、1万7243台のベルリーナと、カロッツェリア・ツーリングによるクーペ・モデルの「スプリント」が1796台生産され、アルファロメオ創業以来の生産台数を記録する。戦前では400台に満たない年間生産台数だった事を考えれば、大きな躍進を遂げた事になる。これに続きオールアルミ製1.3ℓ・4気筒DOHCエンジンを搭載する「ジュリエッタ」シリーズは、カロッツェリア・ベルトーネによる2+2クーペの「スプリント」を皮切りに自社デザインのセダン「ベルリーナ」、ピニンファリーナによるオープン・2シーターモデルの「スパイダー」をラインナップ。1960年になるとベルトーネによるスペシャリティ・クーペ「スプリント・スペチアーレ」と、ザガートによるアルミボディのロードゴーイング・レーサー「スプリント・ザガート」という魅力的なモデルを加え、17万7000台余りが生産され戦後のアルファロメオのイメージを創り上げた。この成功を引き継ぐモデルとして1962年6月27日にアウトドローモ・モンツァでデビューを果たしたのがオールアルミ製1.6ℓ・4気筒DOHCエンジンを搭載した「ジュリアTI」というセダンだった。車名の「ジュリア」はイタリア語で、先代の「ジュリエッタ」の姉を意味する女性名詞となり、搭載するエンジンと車格がひとクラス上級に移行した事を意味する。この「ジュリアTI」は、それまでの「ジュリエッタ・ベルリーナ」とは全く異なるスクエアなボディデザインが採用され、居住性重視の設計としながらもCd値0.34という良好な空力特性を備えていた。車名に含まれる「TI」とは「トゥーリズモ・インテルナツィオナーレ」の略で、国境を超えて他国間を走り回れる性能を有する事を表現している。社内デザインとされるボディは、フロントフェイスにアルファロメオの盾を配し、大小4灯ヘッドライトを装備、ショルダー部分前後に窪んだラインを走らせ、コーダトロンカ風に切り落とされたテールやサイド迄まわりこんだリアウィンドウが採用されるなど、見どころを多くもつデザインとなっている。搭載される1.6ℓエンジンは「ジュリエッタ」の1.3ℓエンジンの74mm×75mmのボア・ストロークを、78mm×82mmに拡大した1570ccの排気量を得ている。チェーン駆動のアルミ合金製DOHCヘッドは、インテークとエキゾーストのバルブを80度のアングルで配置し、半球型燃焼室をもつ構造も「ジュリエッタ」から継承している。ソレックス製2バレルのダウンドラフト・キャブレター1基と8.5の圧縮比から、最高出力92馬力/6200rpmを発揮し、1000kgの車両重量をもつボディを最高速度160km/hまで引っ張った。この当時、フェラーリのV型12気筒エンジン搭載モデルでも4段ギアボックスが採用されていたのに対し「ジュリアTI」は、5段ギアボックスが装備され、程なく4輪ディスクブレーキが装備されるところに、アルファロメオらしさを表現していた。クラスをリードする加速性能と最高速度、高いロードホールディング性能とブレーキ性能から高いドライビングプレジャーを得られる事を意味していた。それは、かつてオラツィオ・サッタ・プリーガが語った「移動が情熱的な意味をもち、感情が揺さぶられなければアルファロメオではない」という言葉とも深いつながりをもつ。「ジュリアTI」にもそのあと様々なバリエーションが登場するが、その代表的なモデルが「ジュリアTIスーパー」で、その時点で調達出来る最もコンペティティブなコンポーネンツを使って仕立てられたモデルとなる。同排気量のDOHCエンジンに40DCOEウェーバーキャブレターを2基装備し、112馬力を発揮するエンジンを搭載する高性能サルーンとして名を馳せた。発表当時稼働していたイル・ポルテッロの旧工場から「ジュリア」シリーズの生産拠点はミラノ市郊外に新設されたアレーゼ工場へ移行され「ジュリエッタ」の時と同様に、ボディバリエーションを拡大する。若き日のジョルジェット・ジュジャーロによりデザインされ代表作となった2ドアクーペの「スプリントGT」、アルド・プロバローネによるオープン2シーターの「スパイダー」、エルコーレ・スパーダがデザインしたコンペティションモデルの「TZ」や、斬新なクーペモデル「ジュニアZ」など派生車種をラインナップする。「ジュリア」シリーズは、総生産台数は111万6000台にも達し、量産されるFRアルファロメオの代表モデルとなり世界中のエンスージャストを魅了し続けた。その後、アルファロメオは「アルフェッタ」から「75」へとトランスアクスルFRの時代を経て、フィアット傘下となり1990年代に入ると「155」を発表。エンジンをフロントに横置きに搭載するFFの時代を迎える。︎アルファロメオ創業からちょうど105年が経過した2015年6月24日、大規模な改修工事を行い4年ぶりに再びオープンしたアルファロメオのミュージアム、“ムゼオ・ストリコ・アルファロメオ”では、アルファロメオの新型モデルの発表会が行われた。フィアット創業者一族であるアニエッリ家のジョン・エルカーン会長はじめ、フィアットCEOのセルジオ・マルキオンネ、アルファロメオのトップを務めるハラルド・ヴァスター、この時代のFCA主要メンバーがアレーゼに集まる。こうして始まる発表会に先立ち世界的なテノール歌手アンドレア・ボチェッリが登場し、プッチーニの歌劇“トゥーランドット”のアリアを歌い上げる。心ゆさぶる演出の中マルキオンネにより新型モデルの車名「ジュリア」が発表され、新型「ジュリア」がお披露目されてアルファロメオは新たな時代を迎えた。フェラーリとの関係をもつV型6気筒・ツインターボエンジン搭載のトップグレード「ジュリア クワドリフォリオ」は、2015年9月のフランクフルトショーで正式にショーデビュー果たし、直列4気筒ターボエンジン搭載のスタンダードグレード・モデルは2016年3月のジュネーブショーでデビューを飾る。「ジュリア」の車名には、1962年に発表された初代が、戦後、本格的に量産車メーカーとして転身したアルファロメオの成功の礎を築いた事にちなみ、僅か6万台にまで落ち込んだ年間生産台数を再び輝かせる為のアルファロメオ再生の思いがこめられている。それは思いだけに留まらずこの新型「ジュリア」に採用される数十億ユーロを投資して白紙の状態から開発された「ジョルジオ・プラットフォーム」は、フィリップ・クリエフを開発統括責任者とする、平均年齢32歳未満の開発チームによる新たなFR及び4WD用のプラットフォームとなる。これにより販売拡大を目指すアルファロメオは、北米市場への本格復帰を目論み、このクラスの主流となるBMW、アウディ、メルセデスベンツと競合出来るFRプレミアムモデルとしての内容をもっている。これまで他車のFF用プラットフォームをアレンジしながら開発されてきたアルファロメオに、FCAが時代に逆行するカタチで新規でFRのプラットフォームを開発したところにアルファロメオ再生の本気度が伺える。これに合わせて、前後足回りも新設計されるとともに4気筒エンジンモデルは、フロントミッドシップでエンジンを搭載され、前後イーブンとなる重量配分も実現されている。最初から500馬力級のモデルをラインナップすることを前提として開発された「ジョルジオ・プラットフォーム」は、極めて強靭で些かの破綻も無くそのパワーを吸収し軽量化にも配慮しながら、4気筒エンジンモデルではオーバークオリティともいえる内容を備えている。新型「ジュリア」のボディデザインを担当したのは、1994年からFCAデザイン部門のアルファロメオ・チェントロ・スティーレ(アルファロメオ・デザインセンター)に在籍するアレッサンドロ・マッコリーニをチーフとするデザインチーム。ボンネット、ドア、前後フェンダーにアルミパネルが投入され、アルファロメオのFRアーキテクチュアの伝統を踏襲しながら、短いフロントオーバーハングに長めのボンネット、凝縮感をもつキャビンで構成されている。緩い弧を描くルーフから続く滑らかな造形は、往年の「ジュリエッタ・スプリント」のオマージュともなっている。3ボックス・セダンでありながらクーペ的なエレガンスを表現しているのは、現代では競合するドイツ勢とも同様の手法となるが、ヘリテイジを引用してデザインされるボディがみせるエモーショナルな表情は、明らかに他とは一線を画す。搭載されるエンジンは2ℓ・4気筒ガソリンターボエンジンが出力違いで2種と、トップモデルに2.9ℓ・V6ツインターボエンジンを置き、2.2ℓのディーゼルターボ4気筒エンジンがラインナップされている。主力となるテルモリ工場で製造される4気筒ガソリンターボエンジンには、バルブを作動させるカムシャフトが、排気バルブ側のみに存在するSOHC方式で、吸気側バルブは油圧により作動するシステムをもつFCAのマルチエア技術と、ツインスクロールターボが採用されている。オールアルミ製となるこのエンジンは、ターボラグを全く感じさせる事なく低い回転から大きなトルクを発生し、アルファロメオらしく柔らかな回転感をもつのが特徴となる。組み合わされるZF製トルコン式8速ATによる出力は、軽量化に配慮され回転イナーシャの低減も図られたカーボンファイバー製ドライブシャフトにより後輪に届けられ、あらゆる速度域に於いて気持ちの良い加速感を得ている。アルファロメオらしさはインテリアにも及び、ドライビングモード・システム「DNA」を装備しデジタル化を活用しながらも、丸いヒサシをもった大径のアナログメーターや、円形エア・アウトレットが残さたデザインが採用され、往年の「ジュリア・クーペ」をイメージさせるものとなっている。新時代を迎えたアルファロメオは、EVや自動運転等が推進される時代に於いても、自らが築いてきたドライビングプレジャーに反する事なく、ドライバーがクルマを走らせることで感じる「気持ち良さ」にこだわり続けながら、多くの取捨選択の末に理想とするこのモデルを作り上げた。この新型「ジュリア」こそ、かつての設計責任者、オラツィオ・サッタ・プリーガの言葉に代表される「アルファロメオ」そのものにほかならない。今回入荷した2019年型「ジュリア ターボディーゼルスーパー」は「クリーンディーゼル」という言葉が生まれる以前から、環境性能の高いディーゼルエンジンの開発に拘るアルファロメオが、現代のアルファロメオらしさを象徴する新型「ジュリア」に設定するスポーツセダンとなる。ディーゼルエンジンであっても、アルファロメオらしく軽快感を損なうことなく、呆気ないほど軽々とスピードを乗せていける感覚や、ヒラリと感じさせるハンドリングはガソリンエンジン搭載モデルに劣らず健在となっている。セダンとしての高い実用性を活かしながら、アルファロメオならではのエモーショナルな部分に加え、100km/h巡航に於いてはリッター20kmを超える高い経済性を兼ね備えたモデルとなっている。「クリーンディーゼル」とは、二酸化炭素排出量がガソリンエンジンより少なく環境性能が高いディーゼルエンジンのことを指している。その技術の要となるのが「コモンレール」を使った燃料噴射技術で、これはフィアット・グループとマニエッティ・マレリにより共同開発されたものとなる。この技術を使ったマルチジェット・ディーゼルエンジンを搭載した「アルファロメオ156JTD」は、1997年に乗用車としては初めて市販され、現在に続くクリーンディーゼルの礎を築いた。この「コモンレール式」とは、ポンプで高圧をかけた燃料を細長い筒状のレールに送り溜めてインジェクターを経て、エンジン回転と負荷によらず最適な噴射を実行させる事で完全燃焼に近づけ、ディーゼル特有のPM(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)の排出を抑える技術となる。フィアット・グループとマニエッティ・マレリにより開発された技術は、後にボッシュに譲渡され、同時期に日本でもデンソーにより開発したものが日野のトラックに搭載され実用化されている。︎「ジュリア ターボディーゼルスーパー」が搭載するエンジンは、水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボディーゼルエンジンで、ボア×ストローク83.0mm×99.0mmから2142ccの排気量を得る。「マルチジェットⅡ」とよばれるコモンレール式の燃料噴射装置が装備され、ひとつの燃焼工程で2000バールにも達する超高圧燃料噴射を最大8回行うことで、クリーンで静粛な燃焼を実現。その上、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)やCSR(選択式触媒還元)、アドブルー(尿素水溶性)噴射装置といった排ガス処理技術の採用により2017年からの「ユーロ6d-TENP」はもちろん、世界的に厳しいといわれる日本の「ポスト新長期規制」とよばれる排出ガス基準もクリアしている。ディーゼルエンジンとしては低めの15.5という圧縮比をもち、電子制御式バリアブル・ジオメトリー・ターボ(回転の立ち上がりが滑らかなボール・ベアリング・ターボ式)が採用され、最高出力190馬力/3500rpm、最大トルク45.9kgm/1750rpmを発揮する。アルファロメオ製のエンジンらしく、ディーゼルエンジンの中ではアクセルに機敏に反応するトップレベルのレスポンスを実現している。また強度を確保しながら軽量化にもこだわるエンジンブロックは、微細気泡の混入を防ぐ低圧ダイキャスト方式で造られたアルミ合金製のエンジンブロックが採用され、その重量は27kgとなる。また中空カムシャフトやフライホイールの軽量化により、ガソリンエンジンに比べ僅か10kg増に留まる。専用のバランスシャフトが採用されボディへ伝わる振動を抑えながら、エンジン本来の性能を理想的に引き出す設計になっている。組み合わされるトランスミッションはガソリンエンジンモデルと同様のZF製トルコン式8速ATとなる。このエンジンとATを含めた155kgの重量は、発表当時、市販される160馬力以上の2ℓ〜2.2ℓ直4ディーゼルターボユニットの中で最軽量となり、前後重量配分は理想的な50:50を実現している。足回りは、フロント・ダブルウィッシュボーン式、リア・マルチリンク式となり、アーム類はアルミ製となり前後ともにスタビライザーが装備される。フロントには、12.1というレーシングカー並みのクイックなステアリングレシオと合わせて「セミバーチャルステアリングアクション」という独自のアライメント制御技術が採用されている。これにより、クイックな操舵応答性と高いスタビリティを備える。ブレーキはフロント・リアともにベンチレーテッド・ディスクが装備され、フロントにはブレンボ製4ポッドキャリパーが組み合わされ、ABSが装備されている。ホイールは「スーパー」グレードとなる為、18インチ径が採用されフロントは8J、リアは9Jサイズとなる。組み合わされるタイヤサイズは前後それぞれ、225/45-18、255/40-18サイズとなっている。︎インテリアは「スーパー」では、明るい色調のレザーとナチュラルに感じられるウッドで構成され、リラックス出来る穏やかなイメージで仕上げられている。スポーティなデザインの3スポークステアリングの8時の位置にはエンジンのスタートボタンがレイアウトされる。またステアリング裏には左右に大型の固定式変速用パドルが装備されている。そのステアリングの奥には大径のアナログ式メーターが2つ備わり、ダッシュボード左右にレイアウトされる円形のエアコン吹き出し口と併せて往年の「ジュリア」のインテリアを彷彿とさせる。電動調整式のシートは、見た目よりホールド性が高く、しっかりとしたコシがあり長時間ドライブしても疲れにくいものとなる。後席はセダンとして充分なスペースが確保され、480ℓの容量をもつトランクスペースと繋がり、後席シートバックは4:2:4の分割可倒式となっている。センターコンソールのシフトレバー手前のドライバー寄りには「アルファDNA」とよばれるドライブモードが選択出来るロータリー式のスイッチが置かれている。「アルファDNA」とはステアリングアシスト、スロットルレスポンス、シフトプログラムが統合制御されるもので「D」はダイナミックなスポーツモード、「N」はナチュラルな乗り心地重視のノーマルモード、「A」はアドバンストエシフェンシーとよばれる燃費重視でローグリップ状態でもトラクションを確保出来るモードとなり、それぞれ選択可能となっている。ダッシュボード中央にレイアウトされる8.8インチモニターをもつインフォテイメントシステムは、シフトレバー手前の大径のダイヤルで操作することが可能となっている。オーディオシステムは、14スピーカーを備えた、ハーマン/カードン・プレミアム・オーディオが採用され、その操作はインフォテイメントシステムに内包される。︎全長×全幅×全高は4645mm×1865mm×1435mm、ホイールベース2820mm、トレッド前1555mm、後1625mm、車両重量1600kgとなる。燃料タンク容量58ℓ、最小回転半径は5.4m、新車時販売価格は556万円(2019年)となっている。メーカー公表性能値は、0→100km/h加速7.2秒、最高速度230km/hとなる。︎ヨーロッパ自動車メーカーが電動化に邁進しているとメディアがとりあげ、Co2排出量を低減させる為にバッテリーEVだけでは間に合わない現実と向き合っていた2010年代中盤。マイルドハイブリッドモデルやPHEV、内燃エンジンの進化も含め、あらゆる手段が模索されていた。フォルクスワーゲンによるディーゼルゲート事件を受けて、確かにヨーロッパ自動車メーカーは、一時ほどディーゼルエンジンに頼る事を控えているが、電動化と並行して最新型ディーゼルユニットをラインナップすることを怠ってはいない。クリーンディーゼルの名のもとに現在では、コモンレール直噴式エンジンに可変ジオメトリーターボ、酸化触媒+SCR触媒、更にDPFを設置するのが定石となっている。そのクリーンディーゼルの先駆者でもあるアルファロメオは、創業100年を超える長い歴史の中で大きな転換期を迎え、持てる技術を結集して新開発された新型「ジュリア」に自慢の最新ディーゼルユニットを搭載するモデルをラインナップしている。今回入荷したモデルは、正規輸入された「ジュリア ディーゼルターボスーパー」で、アルファロメオ初のSUV「ステルヴィオ」導入時に国内発表されたモデルとなる。「ジュリア」発表時にラインナップされていたディーゼルターボエンジン・モデルから、更に環境性能が進化したエンジンを搭載したモデルとなっている。柔らかい丸みとシャープなエッジのコントラストによるエクステリアデザインを備えたこのモデルは、歴代のアルファロメオ各車と変わる事なくスポーティな成り立ちをもつ。その上でセダンモデルとしての実用性を高いレベルで内包しているのが新型「ジュリア」の特徴となる。ドアを開いてキャビンに入ると明るい内装色の影響もあり開放的でリラックス出来る空間が広がる。随所にあしらわれたナチュラルウッドと、アナログメーターが装備されるアコースティックな空間は、イタリア車ならではの軽快なデザインとスポーツ性だけを強調することなく、日常に寄り添った設計により日々の扱い易さも考慮されたものとなっている。ステアリングに配されたエンジンスタートボタンでエンジンを目覚めさせると、冷間始動直後のみ僅かにディーゼルらしさを感じさせるノイズが感知される。それは走り始めると気にならなくなり、ディーゼルユニットがもつ低回転域の豊かなトルクによる加速性能は素晴らしく感じられる。特筆すべきはエンジンレスポンスが懸念されるディーゼルエンジンでありながら、アルファロメオらしくガソリンエンジンに遜色ないレスポンスが得られ、回転域を問わずスムーズな回転感が得られるところ。しかもエンジンが最高出力を発生させる3500rpmから更に1000rpmも上に回転マージンが取られ、回転の頭打ちが無い事からパドルを使ったマニュアルシフトでの変速も存分に楽しめる。ドライブモード・プログラム「アルファDNA」を積極的に切り替えて、穏やかに走らせてもスポーツモデルの様に走らせても、いかようにも対応できる広いスイートスポットを持っている。ワインディングロードで「D(ダイナミック)」モードを選択すれば、これが本当にディーゼルユニット搭載モデルなのか?と疑う程のスポーティさが味わえる。エンジン重量はガソリンユニットに比べ僅かに重いだけに留まり、50:50の前後重量配分とロック・トゥ・ロック2.2回転のシャープなステアリングを活かしての走りは、初期アンダーステアが徹底的に封じ込まれ、極めてダイレクトでスポーティな味わいとなる。絶妙な足回りのチューニングによるこのポテンシャルこそ、アルファロメオの長い歴史の中で培われた深い味わいを感じさせる高い完成度をもつ。「アルファロメオ ジュリアディーゼルターボスーパー」は、あらゆる意味でクラストップの性能をもつクリーンディーゼル・ターボエンジンを搭載しながら、走らせてみればアルファロメオ製セダンらしくスポーティな味わいをいかなる場面でも感じさせてくれる。様々な企業間の思惑に翻弄され、長らくエンジンルームにパワーユニットを横置き搭載した時期を経て、ようやくアルファロメオが理想とするエンジニアリングで開発されたモデルが新型「ジュリア」となる。まさに戦後における初代「ジュリア」が見せた輝かしい存在感を取り戻すべく開発されたモデルとなり、同じ車名を引き継ぐのに相応しい内容をもっている。そのラインナップの中でも動力性能はもとより、時代に配慮した高い環境性能と経済性、その実用性を含めシリーズ中、最も魅力的な内容をもつモデルが「ジュリア ディーゼルターボスーパー」といえるだろう…