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ブラックバッジ
3520
万円
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メーカー
ミッション
コラムオートマ
グレード
ブラックバッジ
ボディタイプ
外装色
ダイヤモンドブラック
年式
2019 年型
走行距離
17.380km
乗車定員
4 名
サイズ
長 528 cm 幅 194 cm 高 150 cm
エンジン形式
排気量
6592 cc
馬力
632
トルク
88.7
車検
令和8年12月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
レッド/ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

[オプション装備] ダイヤモンドブラック・シングルコーチライン・スターライトヘッドライナー・2トーンステアリング・ビスポークインテリア・トレッドプレート・シートパイピング・エントラストステッチ・コントラストステッチ・ラムウールマット・ドライバーズアシスタンス・カメラシステム・21インチコンピジットホイール・スポーツエグゾースト・フロントベンチュレーション・ナチュラルグレインレザー・TVチューナー

 ロールスロイスはチャールス・スチュワート・ロールスとフレデリック・ヘンリー・ロイスという二人の偉大な英国人の運命的な出会いから生まれた。進取の気性に富んだ若い貴族のロールスと、社会の底辺に育ち独学で電気工学を究めた、稀に見る良心的な技術者ロイス。対照的な二人が1904年に契約を交わし19063月に創業したロールスロイスは、1906年〜1925年迄生産された高い性能と信頼性、耐久性をもつ「シルヴァーゴースト」によりロールスロイスの名前を世界に浸透させた。このモデルは熟練工達の高い技術力と最上級のマテリアルを使い、当時考え得る最善の工程により1台ずつハンドメイドされた。ただし「シルヴァーゴースト」やその後継車は、それぞれの時代に於ける先進テクノロジーの集合体では無かった。それはヘンリー・ロイスが先進テクノロジーがもつ欠点さえも徹底的に解消しようとしていたことによる。技術者であるヘンリー・ロイスは絶えず細部の改良を怠ることなく、同社が掲げる「The Best Car in the World」の伝統を貫こうとしていた。その姿勢は後に引き継がれロールスロイスは、完璧を追い求め続けて自動車界に君臨し万人が認めるプレスティッジカー・メーカーとして存在することになる。産業界の合理化が恐るべきスピードでもたらされた19601970年代に至ってもロールスロイスの生産モデルは、クランクケースや各シャフト類等、金属パーツの寸法精度に1台につき約8週間も費やし全数計測を実施していた。一人の熟練工の責任を持って組み上げられたエンジンは、入念にベンチテストを行った上で車体に搭載されるなど、上質なクルマ造りを信条とするロールスロイスの美学は一定以上に維持され続けていた。この1970年代中盤にはメルセデスベンツを先頭に先進的なエンジニアリングを背景とした新たな高級セダンが台頭し、高い機能性と信頼性を獲得しながらマーケットを拡大し始めた。そこでロールスロイスは、戦前には専門のコーチビルダーに任せていたボディとインテリアの仕立てまで、自らの美学に基づいたクルマ造りに取り込んで、最上級の設えを施す事で存在感を示し続けた。しかし1980年代になるとロールスロイスは、プレスティッジカー・メーカーとしての地位は維持しながらも、経営面では安定しない厳しい時代を迎える。そのロールスロイスの商標権を1998年にBMWが獲得すると、200311日をもってロールスロイスはBMWの傘下となり、イングランド南部のブライトン近郊のグッドウッドに新たなるロールスロイスの故郷ともいえる新工場を建設する。いかにもイングランドらしく丘陵地に建つガラスと木で覆われた本社工場は、ロンドンのウォータールー国際鉄道駅などを手がけた、巨匠ニコラス・グリムショウの設計によるものとなりモダンで景観を損なわない美術館の様な外観を持つ。イギリスでは伝統的にバーミンガムやオックスフォードが「モータウン」となるが、ロールスロイスは敢えてウェストサセックスに居を構えた。それは海に近いこの地では、古くからヨットや家具製造に携わる経験豊富な職人が多数存在し、その技術を新型ロールスロイスのレザーやウッドの加工に活かしてもらう意図がある。その上、ドーヴァー海峡に近いこの土地はドイツのBMW工場で生産され送られてくるボディを受け入れるのに大きなアドバンテージとなる。このロールスロイスのグッドウッド工場では、7世代目の「ファントム」の製造が始まった開設当時は、300人の従業員により一日に1台の生産規模となっていた。BMW傘下となり再出発したロールスロイスは順調に生産台数を伸ばしながら20093月のジュネーブショーで「200EX」と名付けられた「ファントム」より一回り小型サルーンのプロトタイプを発表する。このモデルをベースに、20104月に開催された上海モーターショーで新型モデル「ゴースト」がデビューする。ベイビー・ロールスの愛称で開発が進められた「ゴースト」は、シャーシ、エンジンともに「ファントム」とは異なる成り立ちをもち、小型といっても「メルセデスベンツSクラス」や「BMW7シリーズ」より一回り大きなボディをもっている。「ファントム」がアルミスペースフレームを持つのに対して「ゴースト」は、コストと生産性を考慮しスチールをメインとしたモノコックとアルミ製のボディパネルを採用し、ロールスロイスとしては、よりカジュアルな日常使い出来るサルーンとなっている。この「ゴースト」のパーソナル・クーペモデルとして開発されたのが、2013年のジュネーブショーで発表された「レイス」となる。ルーフからリアにかけてなだらかなラインを特徴とするファストバックスタイルのボディをもち、装備される大きな2枚のドアは、後ろヒンジで前開きとなる「コーチドア」が採用されている。ボディデザインは20114月よりロールスロイスの設計チームに加入したジャイルズ・テイラーによるもの。車名に使われる「レイス」とは、ロールスロイスでは1938年に「シルヴァーレイス」として初めて使われた車名で「感知出来ない力」や「縛られない精神」「霊」などの意味をもつ。「ゴースト」より約180mm短いホイールベースをもち、それでも全長は5mオーバー、車両重量は2トンを超える大型クーペとなっている。「レイス」に搭載されるエンジンは「ゴースト」と同様に6.6V12気筒をツイン・ターボで過給したもので、発表当時、ロールス・ロイス史上最強の632馬力を発揮し、最大トルク81.6kgmまでチューンされ、ZF8ATと組み合わされている。これにより2340kgのボディを0100km/h加速4.6秒でこなし、最高速度はリミッターにより250km/hに制限されるハイ・パフォーマンスモデルとなる。さらに「サテライト・エイデッド・トランスミッション(SAT)」とよばれる、GPSにより走行している位置を特定し常にその走行状況下での適切なギアを自動選択しエアサスペンションを最適な減衰力に調整するシステムを搭載し、いかなるときにも「エフォートレス」な加速が得られるとされている。「エフォートレス」とは「努力を要しない」とか「肩のチカラを抜いた」という意味をもち、ロールスロイスでは伝統的に重要視される言葉となる。「レイス」とは、この「エフォートレス」に従いハイ・パフォーマンスモデルでありながら、ステアリングにシフト・パドルを装備すること無く「ポルシェ911カレラ」なみの加速を実現しているモデルとなる。インテリアはロールスロイスらしさをくまなく表現するべく、最高級のマテリアルで構築され「ゴースト」より若干太めのステアリングホイールは低速では極めて軽い操作性とされている。針先に赤いアクセントが付くメーター類やスイッチ類、時計は、アールデコ調のデザインを採用し、イギリス車が最も輝かしかった時代の様式を用いることで、静かに大量生産に意義を唱えている。アクセルをフルに踏み込んでも無粋なマナーは全く見せず、シルクを想わせるほどの極めて滑らかに、それでいて強烈な加速を開始する。だからといって電子制御技術によりコントロールされて乗せられている印象ばかりが前面に出るのでは無く、ドライバーの意思を削ぐ様なそぶりは一切見せない。BMW傘下となっても全く損なわれる事のないロールスロイスとしての存在感をもつ「レイス」は、紳士の為の「究極のグランツーリズモ」として高い完成度をもっている。ロールスロイスは20163月のジュネーブショーで「レイス」のパワートレインを強化し、足回りを見直した高性能モデル「レイス ブラックバッジ」を発表する。近年のロールスロイスは、世界に於けるユーザーの平均年齢が50歳代から40歳代に下がり「レイス」をはじめとする2ドアモデルにその傾向が強く見られるとしている。そこにインスパイアして歴史あるメーカーとしてどういった対応が出来るのか、改めて考え提案されたモデルが「レイス ブラックバッジ」でもある。特徴は専用ボディカラーに「ブラックバッジ ブラック」を設定しダークで大胆な仕上がりを求めて、全体をブラックトーンでコーディネートしているところ。中でも注目すべきは、ブラック・クローム仕上げとなるフロントのパルテノン・グリル。グリル上の「スピリット・オブ・エクスタシー」まで、デザイン、素材はそのままにハイグロスのブラック仕上げとされている。また車両前後とフロントのホイールアーチ後部にレイアウトされる「ダブルR」のエンブレムは、通常のシルバーベースに黒文字で表現されるのでは無く、反転して黒地にシルバー文字とされている。トランクリッドやフロント・ロア・グリルのアクセント、マフラー・エンド等にもダーク調のクロームパーツが採用されている。「レイス ブラックバッジ」は、搭載するロールスロイス史上最強エンジンをトルク性能を上げることで更新し、サスペンションのセットアップは全面的に見直しが図られた。強化された新型ドライブシャフトとアップグレードされた8ATを搭載し、ドライバーズカーとしての実力を一層強く印象付けたモデルとなる。「ブラックバッジ」モデルは、始めに「ゴースト」と「レイス」に設定され、その後ドロップ・ヘッド・クーペの「ドーン」更にSUVの「カリナン」へと広がりを見せる。2022年時点で「ブラックバッジ」シリーズは、世界のロールスロイスの27%、日本市場に限るとその人気は高く52%を占める。「ブラックバッジ」シリーズはサブ・ブランドでは無く、ロールスロイスが本来顧客の要望に応える文化と伝統をもつ会社であり、現代に於ける新たな顧客の要望に最も寄り添ったモデルとなっている。創業者の一人フレデリック・ヘンリー・ロイスは、製粉工場の息子に生まれながら、独学で当時最先端の技術だった電気を扱う電気技師となり、40歳で初めて自動車造りに挑んだ。もう一方のチャールス・スチュワート・ロールスは、裕福な貴族に生まれ最先端だった自動車に魅了され、ケンブリッジ大学の行事にオイルで汚れたホワイトタイを着用して「ダーティ・ロールス」とあだ名された逸話をもつ。創業者の二人も、ともに反骨精神あふれるイノベーター(革新者)だったからこそロールスロイスは変革を恐れず、創業時から受け継がれる熟練工によるクラフツマン・シップはしっかりと継承しながら、新たな顧客達の望む仕様にフォーカスした「ブラックバッジ」シリーズを生み出した。伝統や習慣を尊重しながらパンクロック文化の様な急進的な変革を生み出すイギリス特有の精神性を纏ったロールスロイスは、新たな方向に一歩踏み出しすことで生産台数を着実に伸ばしながら、2025年にはグッドウッド工場では2500人以上が働き一日最大28台のロールスロイスが生産されるまでの成長をみせている。今回入荷した2019年型「ロールスロイス レイス ブラックバッジ」が搭載するエンジンは、BMW760Li(F02)に搭載されていた6V12気筒(N74B60)6.6まで拡大したN74B66型とよばれる60°V12気筒DOHC48バルブ・ツインターボとなる。ボア×ストローク89.0mm×88.3mmから6591ccの排気量を得て、圧縮比10.0でピエゾ・インジェクターによる200barの高圧で、直接、燃焼室に燃料を噴射する直噴エンジンとなっている。インタークーラーを装備したギャレット社製ツインターボを採用するこのエンジンは、本来、ロールスロイスの慣習により出力・トルクは「sufficient(必要なだけ充分)」と表現されるところだが、最高出力632馬力/5600rpm、最大トルク88.7kgm/17004500rpmを発揮する事が公表されている。ベース車両となる「レイス」に搭載されるエンジンに比べ最高出力値に変更は無いが、最大トルクは7.1kgm増強されている。トランスミッションは変速スピードが速く、滑らかなチェンジが自慢のZF8速トルコン式AT(8HP90)が採用されている。この8ATには「サテライト・エイデッド・トランスミッション(SAT)」とよばれるGPSデータを使ったクルマの進む先の、道の曲率や勾配の情報から最適なギア・ポジションを自動選択し、エアサスペンションを理想的な減衰力に調整するシステムが搭載されている。トルクアップに伴いアクセル・レスポンスには磨きがかけられリファインされたATは、強化された新型ドライブシャフトと組み合わされている。この「レイス ブラックバッジ」専用のトランスミッション及びエンジン制御プログラムには「イントゥーティブ・スロットルレスポンス」が採用されている。これはスロットル開度25%以上になるとシフトアップする回転域を300500rpm高め、80%以上では6000rpmまでそのギアをキープし続ける。また7080%のアクセル開度では変速スピードが早まり減速時には速やかにシフトダウンも行う。このプログラムによる恩恵は、全回転域でアクセル操作に対して小気味良さが増すことで、車両との一体感をドライバーが走行時により強く実感出来る内容となっている。 足回りはフロント・ダブルウィッシュボーン式、リア・マルチリンク式となり、電子制御式のエアサスペンションとアクティブ・スタビライザーを装備する。この電子制御式のエアサスにはドライビング・モードの切り替えは設定されておらずGPSと地図データを使った「SAT」により、走行している道のカーブを先読みし、ドライバーの走らせ方をモニタリングしながらいかなる場合でもプログラムの中からベストなセッティングを瞬時に自動で選択することでコンフォートな乗り味を実現している。このライドフィールは、滑らかでリニアなレスポンスを提供するステアリング、エンジン、変速機、エアサスが有機的に連携し、高いレベルで調和することで実現されたものとなっている。ブレーキは前後ともにベンチレーテッドディスクを採用し、フロントには374mm×30mm厚、リアには370mm×30mm厚サイズが装備されている。このブレーキは、ACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)使用時にオーバースピードでコーナーに入った場合、自動的に速度を落としてコーナーをクリアし、その後、設定されたスピードに自動復帰するという「コーナリング・ブレーキ・コントロール」を装備する。ホイールは開発に4年の歳月をかけた、21インチの市販車初となるCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)とアルミ合金を組み合わせたホイールを装備、黒い部分をよく見るとカーボンの織り目が確認出来るものとなっている。22層のカーボンファイバーレイヤーが3軸方向に重ねられた構造をもち、リム外側エッジ部分ではそれを折り返す事で44層とすることで強度を高め、ハブ部分は航空機に使用されるアルミ合金を鍛造成形した立体構造となる。このふたつのマテリアルを宇宙機器用の高強度のチタンファスナーで結合して造られたホイールと組み合わされるタイヤは、フロント255/40R 21Y、リア285/35R 21Yとなっている。インテリアは、エクステリア同様いかようにもオーダーが可能となりビスポークによる仕立てとなっている。今回入荷した「レイス ブラックバッジ」では、エクステリアに合わせてダーク調に仕上げられたクロームパーツがアクセントとして使われている。ダッシュボード等広い面積を覆うトリムには、ステルス戦闘機の機体にも採用される0.014mmのアルミニウム合金製糸を織り込んだCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)素材が用いられ精悍なイメージでの仕上がりを見せ、そのクオリティはロールスロイスらしく極めて高いものとなっている。きめ細やかな手触りを感じさせる上質なナチュラルグレインレザーや、くるぶしまで埋まる毛足の長いコーンシルクによるカーペットなど、これ以上は望めないマテリアルによりキャビンが構成されているのはロールスロイスならではとなる。ダッシュボード中央の助手席寄りにレイアウトされる専用アナログ時計や、リアシート中央部、サイドシルのプレートにレイアウトされる「インフィニティ=無限」を意味する「」マークは、1930年代にロールスロイス製航空機エンジンを搭載した水上スピード記録艇「ブルーバード」の機体に描かれていたもの。1937年に世界記録を樹立したことに因んで「ブラックバッジ」モデルの無限のパワーを表現するアイコンとして用いられている。イグニッションをオンにすると、センタークラスターのパネルが開き10.25インチのディスプレイが現れ、センターコンソールに備わるタッチパッド付きのロータリー式コントローラーで、カーナビ、オーディオ、車両情報等の情報を呼び出す事が可能となる。太すぎないグリップをもつステアリングを通して、ドライバー正面には3つの白いエナメルの様なクリスタル・オプティックとよばれる上品な素材が採用されたメーターが備わる。中央には260km/hまでのスピードメーター、その右側には燃料と水温のコンビメーター、左側にはパワーリザーブメーターが備わり、ロールスロイスの伝統どおりタコメーターはレイアウトされていない。天井を見上げれば「スターライト・ヘッドライナー」という、夜の天空を模した無数の小さな光ファイバーによる星の瞬きが表現されたルーフライナーが装備されている。「コーチドア」の採用によりアクセスしやすいフロントシートには、シートベルトの収納機構が組み込まれている為、リアシートへのアクセスを容易にするとともに、煩雑な見た目を排除したものとなる。独立して2名乗車が可能なリアシートには、アシュトレイやドリンクホルダー、専用の空調が装備される。フロントシートでは、GTカーに乗るような足を前に伸ばしたドライビング・ポジションとなるが、それでも座面は地上からかなり高い位置となりスポーティでありながらアイポイントは見下ろす感覚も伴う独特のものとなっている。ドアのクローズボタンとトランクリッドオープナーはAピラーの付け根にレイアウトされ、ドア開口部前方には、専用の傘を収納するスペースが確保されている。全長×全幅×全高は、5280mm×1945mm×1505mm、ホイールベースは3110mm、トレッド前1620mm、後1670mm、車両重量は2360kgとなる。燃料タンク容量は83で、新車時販売価格は4099万円(20183)となっている。メーカー公表性能値は、0100km/h加速はベースモデルの「レイス」から0.1秒短縮され4.5秒、最高速度は250km/hでリミッターが作動するのは「レイス」と同様となる。今回入荷した「レイス ブラックバッジ」は、精悍なそのブラックのボディには、リスの尻尾で作られた筆で人により描かれた赤い一本のコーチラインが入れられている。ヒンジを後ろ側にもつ大型のドアを開けるとインテリアカラーも赤と黒の見事なコントラストを見せる。同じレザー張りとされる内装であっても「レイス ブラックバッジ」で使われているレザーは、とてもソフトなフルナチュラルグレインレザーとなるため柔らかいだけでは無く耐久性もとても高いものとなる。ゆったりとしたシートに腰を下ろし、エンジンスタートボタンを押してエンジンを始動してみる。野太い排気音とは程遠く、音も振動も無くパワーリザーブメーターが100を指し、エンジンが始動したのはドライバーのみが知るところとなる。ステアリングの裏、右側に細いウィンカーレバーの様にレイアウトされるシフトレバーをつまむ様に動かして「D」レンジを選択しアクセルを少し踏み込んでみる。大型のボディが滑らかに動き出すが、車外の音が遮断されている為に全くスピード感は無い。慣れるまではスピードメーターで速度を確認しないと想像以上にスピードが出ていることもある。ステアリングは軽くベースモデルの「レイス」に比べロールが少ないので大きく重い車体を忘れさせるくらい滑らかな回頭性をもつ。アクセルを踏み込んでみると湧き上がるトルクにより、車体の質量を忘れさせる程リニアに速度を増しとても気持ち良い加速感を味わえる。8ATにはマニュアルモードや変速用のパドルの装備は無くシフトレバーに「LOW」モードのボタンが付く。この「LOW」モードは実質的な「スポーツ・モード」となりエンジン回転数を高く維持しながらギアチェンジ速度が速まり胸のすくような加速を見せてくれるとともに、下り坂でのエンジンブレーキ用としても活用出来る。この「LOW」モードを敢えて「スポーツモード」と表現しないところがロールスロイスといえる。セットアップされ直したサスペンションは、乗り心地は素晴らしく良く直進性に優れ「マジックカーペット・ライド」を維持しながらフラットな姿勢を保ち続ける。ハンドリングは、重量のあるボディでも前後重量配分が50:50であることを活かして、大きなV12気筒をボンネット下に納めている事を感じさせることなく高いコーナリング性能を見せながら唐突な姿勢の変化は押さえ込まれたものに仕立てられている。曲率の大きなコーナーが続くワインディングロードでは、正確でタッチの柔らかいステアリングにより気持ち良くターンし、滑らかなコーナーリングが楽しめる。アイドリングではその存在を最小限にとどめるエンジンもワインディングロードで踏み込めば控え目にV12気筒の精緻な唸りを響かせる。こういう場面では高めのアイポイントにより扱いやすく「ファントム」や「ゴースト」よりパフォーマンス重視のモデルだという事を認識出来「ブラックバッジ」モデルのアドバンテージを感じられる。ロールスロイスは、BMW傘下となってから「ファントム」を発表し、それから10年をかけて自社製2ドアクーペがどうあるべきか考え抜いて「レイス」を開発してきた。ベントレーともアストンマーティンとも異なるロールスロイスは、632馬力のエンジンを搭載していても、けして「牙を剥く」と表現される方向からドライバーを急き立てることはない。それは新しい顧客達が望むといわれるクールな彩りを加えたモデルであっても全く変わらない。その車名に相応しくあくまでも静かで快適に、そしてしたたかな速さを悠然と実現している。1906年の創業以来「The Best Car in the World」を掲げ最高品質の内燃機関を搭載しながら一世紀以上の長い歴史をもつロールスロイス。そこで生産された数々のエンジンの中で、トルクアップが図られたV12気筒ツインターボエンジンを搭載する「レイス ブラックバッジ」が最もパワーのあるエンジンを搭載したロールスロイスとなり2023年をもって生産は終了する。「レイス」のダイナミックな性能を表現したファストバックスタイルは「ブラックバッジ」モデルの導入により一層強く印象付けるものとなり、そのポジションはロールスロイス初のEVモデル「スペクター」に引き継がれる。新たなパワーソースによるロールスロイスの歴史は「レイス」が築いてきた紳士の為の「究極のグランツーリスモ」を進化させることで、また新たなイノベーター達と出会い伝統の尊重と変革を生み出しながらその存在を紡いで行くのかもしれない…