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マニュアルトランスミッション
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万円
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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
マニュアルトランスミッション
ボディタイプ
外装色
アルジェントニュリブリング
年式
2001 年型
走行距離
36.100km
乗車定員
2 名
サイズ
長 449 cm 幅 192 cm 高 123 cm
エンジン形式
排気量
3586 cc
馬力
400
トルク
38.0
車検
令和9年10月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
アイボリー
燃料区分
ガソリン
幌色
ネイビー

「コンバーチブル」「ロードスター」「カブリオレ」等、固定されたルーフを持たないオープンボディスタイルの車両の呼び方は様々あるが、イタリア車には「スパイダー」という呼び名が相応しい。この「スパイダー」ボディこそ、自動車のボディスタイルの中で最も華があり、特にイタリア車はこれまで生産されたどのモデルを見てもスタイリッシュに見える。コックピット上のハードトップだけを外す「タルガトップ」や、ロールバーの様に構造物が残るスタイルより、ウェストラインから上を綺麗サッパリ取り去ってウィンドウスクリーンのみが残されたスタイルは、見る者もドライブする者も気分が上がるのは間違いない。イタリアを代表するスポーツカーメーカー、フェラーリの「246GT」からはじまるスモール・フェラーリとよばれるシリーズはディーノブランドから始まり1975年に発表された「308GTB」からは12気筒エンジンを搭載していなくてもフェラーリブランドで販売されるようになる。このシリーズは、クーペボディの「ベルリネッタ」を基本に「タルガトップ」をもつオープンモデルをラインナップに加えることを伝統としていた。車名に含まれるアルファベットの「B」はクーペモデルを意味する「ベルリネッタ」を表し、対して「タルガトップ」モデルはオープンボディとなることから「スパイダー」の頭文字として「S」を使うこととされていた。「ディーノ246GT」から始まるスモール・フェラーリ・シリーズの、2シーターミドシップ・モデルの4世代目にあたる「F355」まで続いたこの「タルガトップ」モデルに加え、新たなオープンモデルとしてフルオープンモデルの「スパイダー」ボディが誕生したのは3世代目の「348」の終盤からとなり、1993年にロサンゼルスのロデオドライブでワールドプレミアされた「348スパイダー」となる。フェラーリのロードモデルのラインナップの中でそれより以前にフルオープンボディが存在したのは、近年では1984年に登場したのは2+2ミッドシップモデルの「モンディアル・カブリオレ」となるが、2シーターモデルとしては1971年に「デイトナ・スパイダー」の愛称でよばれた「365GTS/4」以来となっている。「スパイダー」モデルはスポーツカーの最大マーケットとされる北米からの要請は勿論のことだが、フェラーリのメインストリームとなるF1マシンに最も近いイメージをもつそのボディスタイルをもち、フェラーリの特徴でもあるそのサウンドをダイレクトに楽しめるというところからフェラーリでは強いこだわりをもって開発が行われ、常に存在感をもつ人気のモデルとなっている。 創業者のエンツォ亡き後、紆余曲折の末にその意志を継ぐルカ・ディ・モンテゼーモロ体制となったフェラーリは、21世紀を目前に控えた1999年「F355」の後継車として3月のジュネーブショーで「360モデナ」を発表する。このモデルはスモール・フェラーリ・シリーズとしては初となる新開発のアルミ製スペースフレームをもち、ボディ・パネルやサスペンション・アームに至るまでアルミニウム製とされ、カロッツェリア・ピニンファリーナのダビデ・アルカンジェリのデザインによるダイナミックなボディラインを纏って発表された。それまで続いてきたリトラクタブル式では無く、プレキシグラスに覆われた固定式ヘッドランプをもつ「360モデナ」は「F355」より、ひと回り大きなディメンジョンを持つにもかかわらず、アルミニウムを多様することにより、ほぼ同等の乾燥重量に仕上げられている。軽量化のみならず大幅に剛性アップされたボディと、大きく進化したエアロダイナミクス性能が与えられ、モンテゼーモロが常に重要視していた高いコンフォート性能を併せ持ち、新時代のフェラーリ・ベルリネッタ像を世に示したモデルとなっている。これまでのスモール・フェラーリ・シリーズの各モデルと異なるのは、アルミフレームの採用だけにとどまらず「360モデナ」ではタルガトップモデルの設定も無かった。その代わり発表翌年の20003月のジュネーブショーでは、早くもクーペモデルをベースとするフルオープンモデルの「360スパイダー」がデビューする。高い剛性をもつアルミ製スペースフレームにはオープン化に伴い、サイドシル、フロアパン、フロントセクション、リアバルクヘッド等に補強・強化が施されるとともに、ウィンドスクリーンフレームの設計変更が図られている。このボディ強化の為の重量増は60kgに抑えられ、発揮されるパフォーマンスの低下も最小限にとどめられている。誰もが注目する自動式キャンバス製トップは、7つのアクチュエーターによりスイッチを引き続けることで約28秒間での開閉を実現し、ロックまで自動で行われる完全自動式が採用されている。はじめにサイドウィンドウが下がると同時にトップの前後端が持ち上がり、頭上で折り畳まれるとヘッドフェアリングのカタチをしたキャビン後方のカバーが後ヒンジで開き、そこに畳まれたトップが収納されオープンボディ化の手順が完了する。入念なインナートリミングが施された厚手のキャンバストップは遮音性も高く、スティールバーも備える頑丈な造りとなる。このトップの製作はメルセデスベンツとポルシェが共同で立ち上げたドイツのCTS(Car Top  Systems)社によるもので耐候性が高く軽量・コンパクトなものというフェラーリからのオファーにより2年の歳月を費やして開発が行われている。トップを閉じた状態では、フェラーリならではのトンネルバックスタイルが再現された巧みなデザインが採用され、リア・スクリーンはガラスではなく軽量化を考慮したPVC製となっている。エンジンフードはクーペモデルと同様にエンジンの上部が一部ガラス製となり、その中に赤い結晶塗装の吸気チャンバー部分が覗けるのも同様となる。トップを開けると左右のシート後方には乗員の安全を確保する為のロールバーが残る。オープン時のキャビンへの風の巻き込みは80km/hあたりから始まり120km/hまでは大きな変化は感じられない。ロールバーの内側に装備される整流ネットは効果的で180km/hを超えるオープン走行時でも巻き込む風が抑えされる様に配慮され、取り外し可能で専用の本革製ケースに収納可能となっている。オープン化による最大限の開放感と、ベルリネッタボディと変わらないリニアでソリッドな操縦性が両立されているのが「360スパイダー」の最大の特徴となる。今回入荷した2001年型「360スパイダー」に搭載されるエンジンは、クーペモデルの「360モデナ」と共通のF131B型とよばれるオールアルミ製の水冷90V8気筒DOHC40バルブで、ボア×ストロークは85mm×79mmをもち3586ccの排気量を得る。ボッシュ・モトロニックME7.3燃料噴射装置を装備し、11.0の圧縮比から最高出力400馬力/8500rpmと最大トルク38kgm/4750rpmを発揮する。先代の「F355」に搭載されるF129B型エンジンからシリンダーストローク値が2mmアップされ91ccの排気量拡大が施されたエンジンは、1気筒あたり吸気が3本、排気が2本からなる5つのバルブを放射状に配置するのは共通となる。ベルト駆動となるカムシャフトにより直接バルブは作動し、バルブタペット内にはラッシュアジャスターが組み込まれバルブクリアランスは油圧により自動的に適正値が保たれている。また、このF131B型エンジンまでは、ジュリアーノ・デ・アンジェリス技師の設計による「308GTB」に搭載されていたF106A型エンジンと同じボア間ピッチを持つ基本ディメンジョンを引き継ぎ「348」に搭載されるF119型エンジン以降、ボア値は限界となり共通の85mmが維持されている。マーレ社製アルミ鍛造ピストンやパンクル社製チタンコンロッド、ニカシル皮膜を施したスチール製シリンダーライナーは継承され、新たに可変吸気・可変バルブタイミング機構が採用されている。このエンジンに採用された最も注目すべき技術としては、フェラーリ製ロードモデル用エンジンとしては初となる、マニエッティ・マレリ社製の電子制御スロットルが装備されていることとなる。この電子制御スロットルのセッティングは28基のエンジンを25000時間に及ぶベンチテストを経て開発され、発売当初は日常使用するにはやや過敏といわれる程のレスポンスと評価されていた。低速域でのトルクを充実させながら5000rpm以上での明らかなパワーの盛り上がりを感じさせ、6000rpm以上でもうひと伸びする特性を与えられたエンジンは、市販車中最高のV8エンジンという評判を当時は独占していた。組み合わされるトランスミッションは「348/F355」迄の横置き型ギアボックスから、新設計とされる縦置き型6速ギアボックスに変更されている。エンジンクランクシャフトからの出力は、直後に置かれたシングルプレートの油圧作動による乾式クラッチを経てファイナルギア・セットの下部を抜けて、後方に縦置きされた2軸式・6段ギアボックスに導かれる。ここで減速された出力はUターンしてファイナルギアへと伝達され、向きを90度変更された後LSDの組み込まれたディファレンシャルを介してドライブシャフトを回す。この新型ギアボックスの寸法は、それまでの横置き型に比べ長く、横幅が詰められた形状となる。これは車体後半部下面にベンチュリー効果を生むアップスイープ・トンネルの幅を稼ぐ為となっている。また重心高を下げる目的からファイナルギア部分に膨らみを持たせ、ドライサンプ式となるエンジン用に11のオイルタンクが内蔵されている。またこれまでの横置きギアボックスでは12速ギアのシンクロナイザーをダブルコーン化していたが、この新型ギアボックスでは12速にはトリプルコーンシンクロ、36速にはダブルコーンシンクロが採用され、クラッチへの負担と操作タイミングのラグが軽減されている。この新型ギアボックスと電子制御スロットルにより「F355」の世代から搭載されているセミオートマチックシステムの「F1」システムでは、シフトダウン時には自動ブリッピングによる回転合わせが可能となりスムーズなシフトダウンを可能とする大きな進化をみせている。今回入荷した車両は、大変希少な6MTモデルとなり、この新型ギアボックスの進化を自らクラッチを踏みシフトノブを操って変速を行うことにより存分に気持ちの良いタッチを味わい楽しむ事が可能となっている。足回りは、フェラーリの定石ともいえる前後共にダブルウィッシュボーン式+コイル+スタビライザーとなり「360モデナ」と同様にアルミ鍛造製のアーム類をもつ。ハブキャリア、ダンパーケースもアルミ製とされるザックス製の電子制御式アクティブダンパーが採用され、バネ下重量の軽減は徹底されている。足回りだけに留まらず、ステアリングコラム・ブラケット、ペダル類にまで積極的にアルミ製品が採用され軽量化への配慮が惜しまれることはない。ブレーキは前後ともに330mm径のドリルドベンチレーテッドディスクが装備され、それぞれにブレンボ製アルミ4ポットキャリパーが組み合わされボッシュ製5.3ABSが備わる。ホイールは18インチ径のBBS製アルミ鍛造ホイールが装備され、フロントには7.5J、リアは10J幅が採用されている。組み合わされるタイヤはフロント215/45ZR18、リア275/40ZR18サイズが装備されている。今回入荷した車両にはカロッツェリア・ピニンファリーナ創立70周年を祝して世界限定448台が生産された12気筒エンジン搭載のフルオープンモデル「フェラーリ550バルケッタ(バルケッタとは小舟を意味するイタリア語で小型オープンモデルに用いられ、1948年の166MMに由来する)」に採用されていたものに非常に良く似たデザインのホイールが装備されている。これは純正オプションのスカリエッティ・プログラムに含まれるBBS製のたいへん希少な2ピースホイールとなり、オリジナル・ホイールと同じサイズをもち、組み合わされるタイヤも前後ともに純正サイズのBS製が装備されている。またホイール以外にも、左右のフロントフェンダー上部には七宝焼きによるスクーデリア・フェラーリのエンブレムが装備され、細かい穴の空いた「チャレンジグリル」が純正オプションの中からチョイスされ装備されている。インテリアは、アルミ製のボディを象徴するようにドアをはじめとする各部にアルミパーツがアクセントとして採用されるのはクーペボディの「360モデナ」と同様となる。3スポーク・ステアリングやメータークラスターに並ぶメーター類などフェラーリらしくクラシカルな雰囲気でまとめられている。ドライバー正面に配されるメータークラスターには、1万回転まで刻まれた大径のレブカウンターを中心として、右側にやや小ぶりな340km/hまでのスピードメーター、左側には小径の水温、油温、油圧の3つのメーター類がレイアウトされる。ステアリングコラム左下には、フォグランプ、トラクションコントロールとなるASR用、ドアミラーのデフォッガー、サスペンションのモード切り替え用のトグルスイッチが並ぶ。オープントップの開閉スイッチはセンターコンソール後方に、トランクやフューエルリッドのスイッチと一緒にサイドブレーキ横のカバーの中にレイアウトされている。1DINサイズのオーディオの左右にはパワーウィンドウのスイッチが配置され、その下には室内空調の為のダイヤルがまとめられている。ダッシュボードにレイアウトされる5つのエアアウトレット形状は「550マラネロ」以降のフェラーリ製の各モデルに採用されているデザインと共通となる。パイピングが施されたシートをはじめとしてクレマ・カラーがチョイスされたコノリーレザー製の内装と、色を合わせたカラード・ステアリングが装備され、オープンモデルらしい華やかなカラーコーディネートが施されている。ベルリネッタモデルと同形状となる、ヘッドレストにプランシングホースのエンボスが施されたシートは、硬くしっかりとした座り心地をもつが、長時間座り続けても疲れにくいものとなり深めのサイドサポートにより高いホールド性をもっている。今回入荷した車両は、マニュアルトランスミッションを装備する為シフトレバーの根本にはフェラーリ伝統のゲートが切られたメタルプレートが備わる。クレマ・カラーのインテリアはトップを閉じていても明るいカラーとなるため、他のインテリアカラーに比べ閉所感は少なく充実したドライブ環境が得られる。フェラーリ創業者エンツォの意志を継ぎ、この「360スパイダー」が発表された今世紀初頭のフェラーリを率いていたモンテゼーモロは、いつもボタンダウンシャツの襟ボタンを外しネクタイを緩めたスタイリッシュな50歳代の新たなカリスマという存在だった。当時のフェラーリは、年間僅か3500台程のロードモデルを生産し世界最高峰のレース、F1の為のフォーミュラーカーをエンジン、ギアボックス、シャーシにわたり自社製作する世界で唯一のユニークな自動車会社として成り立っていた。創業された1947年から、いつの時代に於いても参戦するレースカテゴリーの中で、常に最優力チームとして存在し続けける自動車メーカーは他に類を見ない。エンツォ・フェラーリの人柄が、このフェラーリというレーシング・チームとそのファクトリーをもつ自動車会社を世界的な企業に発展させた。このエンツォ亡き後、1991年末からこのフェラーリを牽引し、更なる進化を果たして自動車界のトップブランドまで引き上げたモンテゼーモロは、2000年の夏に再婚し女児を設けていた。それを祝して当時のフィアット・グループのトップであったジョヴァンニ・アニエッリがモンテゼーモロに贈ったワンオフのスペシャルモデルが「360スパイダー」をベースとする「360バルケッタ・モンテゼーモロ」となる。ボディカラーは今回入荷した車両の「アルジェントニュルブルクリンク」に近いシルバーメタリックとなる。このシルバーのボディカラーはクルマ好きとして知られるアニエッリが、自身のイニシャル「AG」を、元素記号「AG=銀」になぞらえて自身所有のスペシャルモデルに好んで使っていたカラーで、そこにモンテゼーモロの出身地、ボローニャ市のカラーとなる赤と青の2本のコーチラインがフロントホイールアーチ直後から始まるキャラクターラインに沿ってリアを回って反対側まで引かれている。エクステリアで特徴となるのは、低く固定されたフロントウィンドウで、そのアウトラインがハート型となるように上辺が波打っていること。インテリアには“リネン”が素材として用いられ、ザックリとした生地感と風合いが独特な雰囲気を醸し出していた。この「360バルケッタ・モンテゼーモロ」は、2002427日〜714日迄、イタリアと日本の文化・経済交流を促進するために「日本におけるイタリア年」という交流事業の一環として、東京都現代美術館で開催された「ARTEDINAMICA疾走するアートフェラーリ&マセラティ展」で展示、一般に初公開されると一際注目を集めた。この企画ではプロトタイプの「P5」や「250GTO」はじめ貴重なフェラーリやマセラティの代表的なモデルが展示され、この時点では未発表だったカロッツェリア・ピニンファリーナの奥山清行デザインによる「エンツォ・フェラーリ」も、そのエンジン型式を表す「F140」のナンバープレートがつけられモックアップモデルも展示されていた。全長×全幅×全高は4477mm×1922mm×1235mm、ホイールベースは2600mm、トレッド前1669mm、後1617mm、車両重量1450kgとなっている。前後重量配分は42:58、最小回転半径5.4m、燃料タンク容量95、新車時価格は「360スパイダー」で1780万円(6MTモデル)、「360スパイダーF1」で1898万円(F1マチック・モデル)となっている(200011)。「360スパイダー」の生産台数は7565台。ベルリネッタ、スパイダーモデル合わせて「360」は16244台が生産され、そのうち6MTモデルは僅か341台のみが存在する。「360チャレンジストラダーレ」は1288台が生産されている。メーカー公表性能値は、0100km/h加速4.6秒、01km加速23.1秒、最高速度290km/hとなり、ベルリネッタモデルに比べるとそれぞれ僅かに0.1秒、0.2秒、5km/hを各項目で失うが、オープントップをもつことにより、より豊かでダイレクトなフェラーリ・サウンドを味わう事が可能となっている。F1選手権が始まった初年度の1950年から継続して参戦し続ける唯一のコンストラクター、フェラーリが「360スパイダー」を発表した当時は、ドライブするミハエル・シューマッハによりコンストラクターズとドライバーズタイトルを連続して獲得する黄金期を迎えていた。激しく鎬を削るF1選手権に於いて、常にトップのポジションをキープすることは容易なことでは無いが、F1に参戦するドライバー達にとっても最後はフェラーリに乗って引退したいと言われるほどの特別な憧れを抱かせる存在となる。ロードカーに於いてもスポーツカーに興味をもつ人達にとって常に話題となるフェラーリだが、モンテゼーモロが率いる頃に生産されたフェラーリは、その性能と信頼性、そしてクオリティが飛躍的に引き上げられている。路肩に停車している「360スパイダー」の佇まいは、アルジェントニュルブルクリンクのボディカラーをもってしても極めて非日常を象徴するオーラをそこはかとなく放ち、そのキーを持つ者にある種の緊張感を強いている様に感じられる。ドア後部に位置する「250LM」由来のエアインテークへと至るボディサイドの窪みの突端に位置するドアノブに手をかけてドアを開き、低いシートに腰を下ろしてキーを捻りエンジンをスタートさせると、リアからフェラーリならではの重く低いけれども芯の渇いた響きを伴うサウンドが伝わってくる。キャンバス製のトップは、キーが「オン」の状態で、エンジンフードが閉じられていて、速度が5km/h以下の状態で作動させる事が可能となる。オープン状態となった「360スパイダー」はキャビン後方のフェアリングが官能的な形状をもち、クーペモデルに比べ前後のフェンダーがグラマラスな量感をもって隆起している様に強調されスパイダーボディこそ最も華があるという言葉をもって表現出来るものとなっている。抵抗感のあるクラッチを踏み込んで、ギアレバーをゲートに沿って1速に送り込み、クラッチをエンゲージするとエンジン回転を上げなくてもゆっくりと動き出してくれる。低速での乗り心地は悪くなくオープンボディであっても、そのしっかりとした足回りに翻弄されずに入力を受け止めるアルミフレームのしっかりとした強さが感じられる。走り始めは2速が入りにくく使えなかった時代が昔話の様に、素晴らしいタッチが味わえるギアを操って速度を上げてみる。アクセルにリニアに反応するエンジンレスポンスとスピード感がよりダイレクトに伝わるオープンボディにより、クーペモデルより体感的には速さを感じられる。エンジン回転を上げるとそのサウンドは「F355」時代のソプラノからアルトへと変化を見せているが、フェラーリらしさという意味では大きく変わることは無く、オープンボディ故によりダイレクトに響いて耳に届く。速度が増しても過度に緊張感が高めるような、軋み音や低級音、予期しない車両のブレは「360スパイダー」では感じられない。ボディ補強の為に増えた車重は僅かにマイルドになった乗り心地と、角が丸められた硬質なショックとなり体感出来るが、ダンピング不足を感じる事はなく、ハンドリングはクーペモデルと変わる事なく充分にシャープさを見せてくれる。アルミ製スペースフレームが採用される「360モデナ」では、ハードコーナリング中に於いても4輪の位置決めが確実化され、イレギュラーなバンプ等による動きに身構える必要が無いという美点は「360スパイダー」にもしっかりと引き継がれている。オープンボディによる開放感やボディの美しさと引き換えに、スポーツモデルとして失ったものは限りなく少なく、イタリア車がもつ魅力の全てがひとつのボディの中にたっぷりと凝縮されたモデルが「360スパイダー」となっている。