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GTAm
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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
GTAm
ボディタイプ
外装色
GTAレッド
年式
2022 年型
走行距離
3720km
乗車定員
2 名
サイズ
長 466 cm 幅 192 cm 高 142 cm
エンジン形式
排気量
2891 cc
馬力
540
トルク
61.0
車検
令和7年1月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

1939年、自動車王ヘンリー・フォードをして「私はアルファロメオが通るたびに、帽子を持ち上げる」と言わしめた、自動車界の至宝とも言うべきカーメーカーが、ミラノの地で創業したのは1910624日。それから100年余りを経た2015624日に、既に工場は無くなったミラノで6年ぶりに、リニューアルオープンしたアルファロメオ・ミュージアムに於いて、電撃的に発表されたのが新しいアルファロメオの時代の幕開けを告げる、新型「ジュリア」だった。同じ車名をもつ初代「ジュリア」は1962627日、アウトドローモ・モンツァでデビューし、年産14000台に過ぎなかったアルファロメオを1969年には10万台規模にまで押し上げた。この車名を再び登場させ、栄光を取り戻すべく平均年齢32才未満の開発チームが完全な白紙状態から、自由で大胆な発想に基づいてつくりあげたのが「ジュリア」となる。そしてその肝となるのがFCA(現在はステランティスグループ)開発による、後輪駆動プラットフォームの「ジョルジョ・プラットフォーム」。最初から500馬力級のモデルをシリーズに擁する事を前提に開発された、このプラットフォームを用いた「ジュリア」のモノコックボディは、極めて強靭で些かの破綻も無くハイパワーを受け止める事が出来、4気筒モデルにはオーバークオリティとも思える程のボディとなっている。その「ジュリア」のボディをデザインしたのは1994年からアルファロメオ・チェントロ・スティーレ(アルファロメオ・デザインセンター)に在籍する「アルファロメオ 4C」をデザインした、チーフデザイナーのアレッサンドロ・マッコリーニ。極端に切り詰められた前後オーバーハングに長めのボンネット、クーペのようになだらかにラインを描いて落ちてゆくルーフに短いリアデッキ。「ジュリア」のスタイリングはソリッド感の中にスパルタンな力強さと、柔軟なエレガンスが程良くバランスした味わい深いモノになっている。搭載される2種類のエンジンは、2直列4気筒ターボと2.9V6ツインターボとなる。中でも最強グレードの「ジュリア・クアドリフォリオ」は「フェラーリ・カリフォルニアT」に搭載されたV8ツインターボ・エンジンから2気筒分減らしたモジュラーエンジンのV6ツインターボ・エンジンとなり510馬力を発揮する。カーボン製ルーフやボンネットが採用される専用ボディをもち、20169月時点でのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのセダンモデルの世界最速ラップタイムとなる732秒を達成したハイパフォーマンスモデルとなる。この「ジュリア・クアドリフォリオ」をベースに更なる性能アップを狙って、アルファロメオ創業110周年を記念して2020年に発表されたのが「ジュリアGTA/GTAm」となっている。「GTA」とは「グランツーリスモ・アレジェリータ=軽量GT」を意味し、1960年代にレースのホモロゲーションを獲得する為に、当時の「ジュリア・スプリントGT」をアルミボディ化し約200kg軽量に仕上げ、約500台生産した伝説のモデル名を継承している。ヘリテイジとブランドイメージを象徴する重要な車名でもある。その車名を再び採用するアルファロメオ の意思表明として、フロントフェンダーには「クアドリフォリオ=四つ葉のクローバー」と「アウトデルタ」のエンブレムが付けられる。「クアドリフォリオ」は、1923年、アルファロメオ のレーシングドライバーだったウーゴ・シボッチが「アルファロメオ RL」で伝説の公道レース・タルガフローリオに参戦した際、幸運の印として車体に描いて優勝を勝ち取った事に端を発する。その後シボッチは「アルファロメオ P1」でヨーロッパGPに参戦するが予選中、モンツァサーキットで命を落とす事になる、その時車体には「クアドリフォリオ」は付いていなかった。この死に弔意を表す為、四つ葉のクローバーの背景は白い三角が描かれるようになった。一方「アウトデルタ」は1963年アルファロメオ やフェラーリでの設計で名を馳せたカルロ・キティが立ち上げ、名付けたレースチームの名称で1965年にはアルファロメオに吸収され、アルファロメオ のレース部門となる。これら二つのエンブレムはアウトデルタ開発による初代「ジュリア・スプリントGTA」のフロントフェンダーに取り付けられ、1966年ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでツーリングカーとして初めて10分を切るラップタイムを刻み、その後2年間レースでは無敵の強さを誇り、アルファロメオは多くの栄冠をこのモデルで手にした。その伝説を現在に蘇らせるべく、最先端のテクノロジーと知見を駆使して仕上げられた「ジュリアGTA/GTAm」は、他車では望み得ないドライビングプレジャーを持つ貴重な一台となっている。「GTAm」の車名は1970年に2クラスのツーリングカー・レースを席巻していたアウトデルタ製のレーシングカー「1750GTAm」がオリジナルとなり70年、71年と連続してETC(ヨーロッパ・ツーリングカー・チャンピオンシップ)2クラスのタイトルをアルファロメオにもたらした。「1750GTV」のボディに2ツイン・プラグエンジンを搭載し、アメリカ仕様と同様にスピカ製の機械式燃料噴射装置を装備していたことに由来する事から「Am」が使われている。蘇った新型「ジュリアGTAm」の車名は70年代のオリジナル「GTAm」の車名を継承しつつ「m」は「modificata」の頭文字を表し、モディファイを意味する。モディファイされた「GTA」という意味合いを持ち、より先鋭的な「GTA」と表現することが出来るだろう。復活した「ジュリアGTA/GTAm」はベースとなる「ジュリア・クアドリフォリオ」に対し「GTA」で75kg、今回入荷した「GTAm」では100kgの軽量化がなされている。「ジュリア・クアドリフォリオ」ですでにアルミやカーボンファイバー(CFRP)など軽量素材が採用されている為、減量は簡単な事では無かったが、CFRPの採用範囲を大幅に拡大する事により軽量化が実現されている。フロントバンパー、フロントフェンダー、リアディフューザー更にスプリッターやウィングといった空力パーツ、リアホイールアーチなどがCFRP製となる。薄型フロントウィンドウをはじめ、サイドウィンドウ、リアウィンドウは軽量なポリカーボネート樹脂となる「Lexan(レキサン)」に変更されている。これらに加えて「ジュリアGTAm」では、前席2脚シートにノンリクライニングのサベルト社製の軽量なCFRPフルバケットシートが採用され、後席は省かれボディ同色のロールケージとヘルメットホルダーを備え、リアドア内側には開閉用ノブさえ付かない。これらの軽量化に加え、F1パートナーである「ザウバー・エンジニアリング」の協力により、車体全体の空力設計から見直されフロントのアクティブスプリッターは、最大で40mm前方に伸ばせるよう調整され「ジュリアGTAm」ではリアウィング中央部分に4段階の調整機構が加わる。これによりローダウンフォースからハイダウンフォース(ベース車の3)迄のセッティングが可能となっている。床下の整流も見直され、これらの空力開発は「ザウバー・エンジニアリング」の風洞が用いられている。当時ザウバーF1チームのF1パイロットとして参戦していたレーシングドライバーのキミ・ライコネンとアントニオ・ジョビナッツィ(2023年フェラーリ499Pでル・マン24時間レースに優勝したドライバー)の両名も「ジュリアGTA/GTAm」の開発に名前を連ねている。搭載されるエンジンは「ジュリア・クアドリフォリオ」のエンジンをベースとするオールアルミ製90°V6気筒DOHC24バルブにインタークーラー付きIHI製ツインターボを備え、ボア・ストローク86.5mm×82.0mmから2891ccの排気量をもつ。圧縮比9.3から540馬力/6500rpmの最高出力と61.0kgm/2500rpmの最大トルクを発揮する。これはベースとなる「ジュリア・クワドリフォリオ」の30馬力増となる。ECUの制御だけで無くターボの回転数を引き上げるとともに、ピストン冷却用オイルジェットを2本としオイルクーラーを増設、これにより10%冷却効率が向上している。またコンロッドは「ジュリアGTA/GTAm」専用に設計され、アクラポヴィッチ製チタン・エグゾーストシステムによる官能的なサウンドと、ベースモデルの従順さを損なう事無くパワーアップが達成されている。組み合わされるトランスミッションは専用セッティングとなるZF8速トルコンATとなり、電子制御ディファレンシャルとカーボン製ドライブシャフトで結ばれる。足回りはベースとなる「ジュリア・クワドリフォリオ」と同様のフロント・ダブルウィシュボーン式、リア・マルチリンク式となり前後ともにスタビライザーを備える。ベースモデルと同じく「ALFA DNA」とよばれるドライブモードシステムを備え「Dynamic」「Natural」「A dvanced」「RACE」の4つのモードを備えベース車より短い軽量なスプリングと電子制御ダンパーとエンジンマネージメントシステムにより乗り味の変化を楽しめる。このドライブモードシステムは「ジュリアGTA/GTAm」専用のセッティングが施されている。ブレーキは余熱機能を持つブレンボ社製カーボンセラミック・ディスクを備えフロントに6ポッド、リアに4ポッドのブレンボ社製モノブロックキャリパーが組み合わされる。ホイールは専用設計の20インチ・センターロック式アルミ鍛造ホイールを備え、フロントに265/30ZR20(9.5J)、リアに295/30ZR20(11J)サイズのミシュラン・パイロットスポーツ2コネクトと組み合わせている。インテリアはカーボンパネルとアルカンターラ素材を広範囲に使用し、助手席手前のダッシュボードには「GTAm」の刺繍が施され、シリアルナンバーが刻印されている。インストルメントパネルやコントロール類の設えは「GTA」と「GTAm」での差は無いが、唯一目立つのはフロントドアのオープナーが「GTA」はレバータイプであるのに対し「GTAm」では布製のストラップ式となっている。3スポークとなるステアリングホイールは「クアドリフォリオ」が皮巻きとなるのに対し「GTA/GTAm」ではアルカンターラ素材が使用され、ステアリングセンターから下に向かうスポークにはカーボンパーツが付けられている。インフォテイメントシステムや空調システム、アナログ式330km/hまで刻まれるスピードメーターはじめ、メーター類の配置、装備はベース車にならったものとなる。「GTAm」のトランクスペース内にはリアのホイールハウス内側に左右にクロスメンバーが渡され、走行性能向上の為の配慮がうかがえる。「ジュリアGTAm」の全長×全幅×全高は4669mm(GTA4654mm)×1923mm×1445mm、ホイールベース2820mm、トレッド前1580mm、後1655mm(ベースモデルに比べ、フロント25mm、リア50mmプラスとなる)、車両重量1580kg(GTA1605kg)となっている。燃料タンク容量は58、前後重量配分50:50、新車時価格は「GTAm」が2198万円、「GTA」は2064万円となる。生産台数は「GTA/GTAm」あわせて500台で、日本仕様は世界最多となる84台といわれている。メーカー公表性能値は0100km/h加速3.6(ジュリア・クワドリフォリオは3.9)、最高速度はリアウィングをダウンフォースが最も少ない状態で、ベースモデルと同じ307km/hといわれている。「GTAm」は聳え立つリアウィングと広げられたトレッド、低く構えるアピアランスから初代「ジュリアGTA」と同じく公道も走れるレーシングカー的なオーラが感じられる。その見た目から想像を超えるしなやかさをも備えている。ドライビングモードで、しなやかな「Natural」でもダンピングの強い「Dynamic」でも現代の車らしくサスペンションのスムーズな働きを感じられる。それはベースモデルとなる「ジュリア・クワドリフォリオ」を凌ぐ程滑らかで快適にも感じられ精度の高いチューニングを実感出来る瞬間でもある。これはエンジンの絶妙なスロットルレスポンスや、フィードバックが高められたステアリングも同様。それでいてひとたびエンジンが回転をあげれば、麗しく高らかに歌いあげるサウンドを響かせ、突き抜けるパワー感を味わえる。これぞアルファロメオと歓声を上げたくなる程の出来栄えといえるだろう。このクラスのハイパフォーマンス・セダンはドイツ車優勢ともいわれ、低回転で瞬時に繰り出すパンチ力では一歩譲るかもしれないが、専用チューニングとなるZF8速トルコンATは、デュアルクラッチ式トランスミッションに全く劣ることの無いチェンジスピードとダイレクトさをもち、エンジンがフルに回った時の力強さでは対等に渡り合える。またこのパワーに見合ったブレンボ社製ブレーキシステムは、耐フェード性に優れ、カーボンディスク装着車の中では、抜きん出たブレーキフィールを誇っている。前後トレッドの拡大やダウンフォースの向上、電子制御ディファレンシャルやトルクベクタリングシステムの設定によるコーナリング性能の飛躍的向上により、540馬力のパワーを引き出して駆け回るワインディングロードはコーナーの大小を問わずクルマ好きにとっては桃源郷となる。全ての装備がドライバーを蔑ろにする事無くバランス良く絡み合い、ソリッドで軽快な走りとしっかしとしたフィードバックが味わえる。正確なインフォメーションと豊富なフィードバックにより、間違いなくクルマとの対話が成り立つ、現在では貴重なハイパフォーマンスカーの一台となっている。安易に電動化に頼らず、エンジンを中心としてこだわり各部の細かいリファインを積み重ねたアルファロメオ110年の歴史の集大成ともいうべき、歴史に名を残す傑作の一台といえるだろう。