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MCビィクトリー 限定車
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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
MCビィクトリー 限定車
ボディタイプ
外装色
グリジィオツーリング
年式
2007 年型
走行距離
11800km
乗車定員
4 名
サイズ
長 454 cm 幅 182 cm 高 132 cm
エンジン形式
排気量
4244 cc
馬力
401
トルク
46.0
車検
令和7年8月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブルーメディオ
燃料区分
ガソリン
幌色

世界限定 180台 / 日本割当て10台 / シリアルナンバー 099 / 180


海神ネプチューンの持つ三叉の鉾をエンブレムにおさめるイタリアの名門マセラティ。創業者であるマセラティ兄弟が、1926年に初めて世に送り出したクルマは「ティーポ26」というレーシングカーだった。192030年代、裕福な階級の人々が「紳士の嗜み」としてモータースポーツを楽しんでいた時代に、マセラティはその需要に応えていた。第二次世界大戦が終わり、1950年、現在でいうところの「F1」シリーズ戦が始まり1954年にマセラティは「250F」というF1マシンを32台、量産し販売する。現在まで続く自動車の歴史に於いてF1マシンを市販していたメーカーはマセラティだけとなる。この中の1台を買うことでF1に参戦したドライバーの1人が若き日の英国人スターリング・モスだった。一方、スポーツカーレースにおいてもマセラティは成功をおさめ、1937年の初優勝以来タルガ・フローリオを4回制覇し、50年代には英国のツーリストトロフィー、ドイツのニュルブルクリンク1000km、アメリカのセブリング12時間等、名だたるレースでの優勝を重ねた。そんなマセラティのウィークポイントは、経営が安定しない事。1957年にアルゼンチン人のファン・マニュエル・ファンジオが「250F」でチャンピオンシップを獲得したのを契機に、レースでのワークス活動を休止する。そして同年ジュネーブショーに初出展したのが本格的グランツーリスモの「3500GT」となる。ここからGTカーメーカーとして大きく方向転換がはかられた。時は流れて1993年、当時、マセラティのオーナーであったアレッサンドロ・デ・トマソが心筋梗塞で倒れた事により、フィアット・グループがマセラティの全てのマネージメントを行う事となった。フィアットの総帥ジャンニ・アニエリは、創業者エンツォ・フェラーリの後を引き継ぐルカ・ディ・モンテゼーモロにマセラティ再建を託し、1997年、突如マセラティは、かつてのライバルメーカーであるフェラーリの傘下となった。その翌年のパリ・モーターショーで発表されたのが「3200GT」となる。マセラティがGTカーメーカーとして方向転換をはかった時に発表した「3500GT」に由来した車名をもつ「3200GT」は、マセラティ新時代を予感させるのに相応しいネーミングとなった。ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインによるラウンドシェイプを持つボディと、ピニンファリーナに在籍していたエンリコ・フミアによるインテリアをもち、デ・トマソ時代のマセラティが得意とした「ビトゥルボ(ツイン・ターボ)・エンジン」搭載により約5000台が生産された。フェラーリ傘下となってからのマセラティは、フェラーリからの技術供与と、テクノロジー面でも大幅な進歩を遂げ「3500GT」以降、最も多くのマセラティが存在する北米マーケット進出を狙い「3200GT」の全面改良が進められた。手始めに華のあるオープンモデルを発表し、続けてクーペモデルが発表される計画が立案された。20019月のフランクフルトショーでデビューする「マセラティ・スパイダー」は、当時のフェラーリF1ドライバーであるミハエル・シューマッハとモンテゼーモロによりアンベールされた。続く翌年のデトロイトショーではクーペモデルとなる「マセラティ・クーペ」の発表が行われた。ホイールベースを「3200GT」から22cm短縮し2シーターとされた「スパイダー」に比べ「クーペ」は、一見「3200GT」そのものに見える。しかし、大きく膨らんだボンネットはじめ、共通するボディパネルは無いに等しく細かなモディファイがなされていた。一目でわかる大きな変更点としてLEDを使った「3200GT」の特徴ともなっていたブーメラン型テールランプが「スパイダー/クーペ」では北米のホモロゲーションによりコンベンショナルなタイプに変更されていた。エンジニアリング面では、新開発となるノーマルアスピレーションV84.2の、ティーポ136R型とよばれる390馬力/45.1kgmを発揮するエンジンに換装された。「3200GT」のビトゥルボ・エンジンに比べ20kg軽量コンパクトでエンジン単体重量184kgとなっている。マセラティらしく90°スローのクロスプレーン・クランクシャフトをもち、マーレ社製の鍛造アルミピストンや、パンクル社製チタンコンロッドを装備し、2004年に登場する「フェラーリF430」に搭載されるティーポ136E型エンジンと共有パーツを多くもつ、味わいのあるマラネロ産のエンジンとなる。組み合わされるイタリアのグラジアーノ社製ギアボックスはディファレンシャルと一体化して車体後方にマウントされ、カーボン製プロペラシャフトを内装するトルクチューブでエンジンとつながるトランスアクスル方式となっている。コンベンショナルな6MTと「カンビオコルサ」とよばれる、マニエッティマレリ社と共同開発による、クラッチペダルを持たないセミATが設定され、前後重量配分は「クーペ」で理想的な52:48となり「スパイダー」では53:47となっている。サスペンションはマンネスマン・ザックス社との共同開発による電子制御の「スカイフック・サスペンション」とよばれる減衰力可変システムとなる。インテリアもアップデイトされ、センターコンソールに新たに5.8インチ液晶モニターとそれを用いた「マセラティ・インフォ・センター」が採用された。0100km加速4.9秒と最高速度285km/hという性能をもつ「マセラティ・クーペ」はフィオラーノ・テストコースにおいて、そのドライバビリティの高さを活かして「3200GT」より6秒も速いラップタイムを記録したといわれている。徐々に、かつての栄光を取り戻しつつあるマセラティは、2003年に「マセラティ・クーペ」をベースとしたワンメイク用ファクトリーレーサー「マセラティ・トロフェオ」で「ヴォーダフォン・トロフェオ・マセラティ・シリーズ」をヨーロッパでスタートする。創立90周年にあたる2004年ジュネーブショーに於いて「MC12」という久しぶりのミッド・シップモデルを発表する。車名にある「MC」とは「Maserati Corse(マセラティ・レーシングの意味)」の頭文字となり、続く「12」は搭載するエンジンがフェラーリ製の12気筒である事に由来する。またこの時一緒に発表されたのが、マイナーチェンジが施された「マセラティ・クーペ」をベースとした進化モデルの「マセラティ・グランスポーツ」となる。「グランスポーツ」の名称は50年代「A6-2000」の高性能モデルに用いられ、エボリューションモデルとしての性能を予感させる車名となっている。2車ともにデザインは、BMWにより生産されるようになった「ミニ」や「フェラーリF430」をデザインした、当時フェラーリ/マセラティのデザインセンターでチーフデザイナーを務めたアメリカ人、フランク・ステファンソンによる。「MC12」は、「エンツォ・フェラーリ」のシャーシとパワートレインをもち、マセラティ専用のエクステリアデザインを施したロードモデル。一方「グランスポーツ」は10mm落とされた車高と19インチの専用ホイールを備え、50年代のグランプリマシンを思わせるフィンタイプのサイドスカートとフロント・リアに備わる深めのエアロパーツにより優れた空力性能誇り、エッジの効いたそのフォルムは「トロフェオ」のイメージも落とし込まれた高性能GTとなっている。「グランスポーツ」に搭載されるエンジンは、オールアルミ製90°V8気筒DOHC32バルブとなり、ボア・ストローク92mm×80mmから4244ccの排気量をもつ。圧縮比11.1でボッシュME7.3.2のエンジン・マネージメントによりベースとなる「マセラティ・クーペ」に比べ10馬力/0.9kgmアップとなる400馬力/7000rpm46kgm/4500rpmのトルクを発揮する。これはインレットマニフォールドの設計変更による吸気の改善と排圧を低減させるバイパスバルブ付きエグゾーストシステムの相乗効果によるもの。組み合わされるトランスミッションは「カンビオコルサ」のみの設定となり、6速のギアレシオは4%程速められている。足回りはフロント・ダブルウィッシュボーン+コイル、リア・ダブルウィッシュボーン+コイルとなり、マンネスマン・ザックス社製「スカイフックサスペンション」とよばれる電子制御サスペンションシステムが備わる。ピッチングとロールを抑えた、よりスポーティな味付けとされている。センターコンソールにある「SPORT」のボタンを押す事で、より引き締まった乗り味となりフラット感が強調される。この「SPORT」モードでは、乗り心地に加え排気音とエンジンレスポンス、更に「カンビオコルサ」の変速スピードが早くなり、ギアチェンジに要する時間は「クーペ」に比べ35%短縮される。特にシフトダウン時は、電制スロットルによるブリッピングが瞬時に行われ、下のギアに素早く切り替わりノーマルモードとの差をより大きく感じられる。ブレーキは、前330mm×32mm、後310mm××28mmのドリルドベンチレーテッドディスクを装備し、前後ともにブレンボ製4ポッドキャリパーが備わる。ホイールはフロント8J、リア9J19インチホイールとなり「トロフェオ」から受け継いだスポーク部分がトライデントをモチーフとされたBBS製ホイールが備わる。組み合わされるタイヤは前235/35ZR19、後265/30ZR19サイズとなっている。インテリアは、エンリコ・フミアのデザインによる「3200GT」時代から踏襲されたものとなるが「グランスポーツ」では「クーペ/スパイダー」で採用された5.8インチ液晶モニターが無くなり1DINサイズのオーディオスペースとされ、カーボンパネルを採用した事によりスポーツ色を強めたイメージで仕上げられている。ステアリングホイールは、頂部にアルミのマーキングが付くカーボンファイバーとレザーのコンビによるもので、裏には「カンビオコルサ」のシフトチェンジ用パドルが左右に付く。このパドルはステアリングと一緒に回転するタイプでは無く、ポストに固定され両方同時に引くことでニュートラルになるのは「フェラーリF1マチック」と同様。メーター類は「クーペ」のコンビカラーの文字盤に対し、マセラティらしいブルーの文字盤とされ数字のロゴデザインも異なる。「グランスポーツ」にはMTの設定が無い為、ダッシュボードのセンターコンソール部とサイドブレーキが備わるセンタートンネル部が切り離され、それぞれカーボンパネルが装備される。シートは専用のバケットシートが採用され、新素材のテクニカル・クロス「ブライト・テックス」が採用される。「クーペ」同様の広さをもつリア・シートエリアは、このモデルのアドバンテージといえるだろう。スポーツモデルといえどもダッシュボード中央には「ビトゥルボ」時代から伝統となったナツメ型のアナログ時計がレイアウトされ、アルミ製となるアクセルペダルと、トライデントが付けられたブレーキペダルが装備される。マセラティ以外では味わう事が出来ないスポーツとラグジュアリーの絶妙なバランスが味わえるモデルとなっている。全長×全幅×全高は4523mm×1822mm×1295mm、ホイールベース2660mm、トレッド前1525mm、後1538mm、車両重量1680kg。燃料タンク容量88、最小回転半径6.0m、新車時販売価格1396.5万円となる。メーカー公表性能値は0100km/h加速4.85秒、0400m加速12.8秒、01km加速23秒、最高速度290km/h。カーグラフィック誌による実測データでは0100km/h加速5.3秒、0400m加速13.3秒、01km加速23.8秒、最高速度250km/h以上となっている。今回入荷した車両「グランスポーツMCヴィクトリー」は、マセラティが1950年代にワークス活動を休止して以来、時代を超えて「マセラティMC12」で参戦した「FIA GT選手権」において2005年にマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得した事を記念して、2006年に限定販売されたモデル。エンジン性能やメカニズムは「グランスポーツ」と共通ながら、数々の専用パーツが装備され、10台が正規輸入され1533万円で販売された。専用装備は、エクステリアではブルーの繊維を織り込んだ「ブルーカーボン」が用いられたフロントとリアのスポイラー、特にフロントスポイラーは形状変更された上に大型化により、高速域での安定性と高い操縦性を実現している。またフロントフェンダーのウィンカーの上部には、イタリア国旗の七宝エンブレムが埋め込まれ、19インチのホイール形状は「グランスポーツ」と同じながら「マーキュリー」とよばれる専用カラーが採用されている。レザーとアルカンターラで覆われたインテリアは「グランスポーツ」でカーボンファイバー製とされていた部分は、全て「ブルーカーボン」製に置き換えられている。そして20kgの軽量化を実現しているのが、フロント2脚のバケットシート。「MC12」と同じ(という事は、エンツォ・フェラーリとも同型)カーボンフレーム製バケットシートが専用装備されている。ステアリングホイール裏側に備わるシフトパドルも上下に長い形状とされ「ブルーカーボン」製となる。ダッシュボードが途切れたセンタートンネル部には、専用のシリアルナンバーが表記されたプレートが装着される。4.2V8エンジン搭載の「クーペ/スパイダー」モデルは全部で13423台が生産され、そのうち「グランスポーツ/グランスポーツスパイダー」は3265台となり、更にその中で「MCヴィクトリー」は僅か181台が生産されたといわれている。「グランスポーツMCヴィクトリー」の「MC12」と同形状となるドアノブを引いて、バケットシートに腰を下ろすと、ブルーがアクセントとなるカーボンパネルが多用され、各部のエレガントな造形にマセラティらしさを感じられる。ステアリングポストにさしたキーを捻りセンターコンソールのアルミパネル部にある「START」ボタンを押す事でエンジンを目覚めさせる。耳に心地よいエンジン音を聴きながらステアリング右側にある「UP」のパドルを引くとメータークラスター中央にあるインジケーターの表示が「N」から「1」にかわりギアが1速にスタンバイされたのがわかる。ゆっくりとアクセルを押し込みクラッチがエンゲージするのを感じたら一度そこでアクセルをホールドし、完全にクラッチが繋がってからアクセルを開けていくことでスムーズなスタートが出来る。クルマと息を合わせる感覚はマニュアルシフトと変わらない。走り始めてからも「UP」のパドルを引くごとにアクセルを僅かにゆるめればよりスムーズに車速を上げられる。レスポンスシブなエンジンの息遣いをマニュアル感覚で楽しむ、このクルマとのコミュニケーションが成り立つ変速機構は「カンビオコルサ」以外存在しないかもしれない。高回転域でのパワーを味わうと20003000rpmでのトルクは物足りなく感じる、そんな時は左側の「DOWN」のパドルを引けば小気味良いブリッピングとともにギアが一段落ち、快音とともにトップエンド迄スパート出来る。「SPORT」モードを選択すれば、無用な姿勢変化を抑えたサスペンションによりワインディングロードではボディがひと回り小さくなった様な一体感が味わえる。またコーナー侵入時にはパドルを引く事で確実にシフトチェンジが出来る事から、ブレーキングとステアリングに集中出来、まさに「カンビオコルサ=レーシングギアボックス」を堪能出来るだろう。このドライビングプレジャーとエレガントな佇まいが高い次元でバランスされるマセラティの味わいは、唯一無二のもの。スポーツモデルとしてのボディサイズと合わせて、貴重な「MCヴィクトリー」ともなると二度と巡り会えないクルマといえるのかもしれない