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PDK 4WD
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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
PDK 4WD
ボディタイプ
外装色
ホワイト
年式
2024 年型
走行距離
720km
乗車定員
2 名
サイズ
長 454 cm 幅 186 cm 高 134 cm
エンジン形式
排気量
2981 cc
馬力
480
トルク
58.1
車検
令和9年5月
ハンドル
駆動区分
4輪駆動
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

世界限定2500台

[ ダカール 専用装備 ]
19/20インチダカール軽合金鍛造ホイール・オールテレインタイヤ・CFRP (炭素繊維強化プラスチック) 製エアベント付ボンネット・CFRP (炭素繊維強化プラスチック) 製固定式リアスポイラー・フロント/リアフェンダークラッディング・専用サスペンション・リフトシステム(フロント/リア)・スポーツクロノパッケージ(ラリーモード/オフロードモード)・スポーツエグゾーストシステム・ラリーローンチコントロール・リアアクスルステアリング・PDCCアクティブロールスタビライザー・ステンレス製フロントプロテクション・ステンレス製カバー付サイドシル・ステンレス製リアプロテクション(アイレット付)・アルミニウム製レッド牽引フック・軽量ガラス・軽量バッテリー・2シーター・カーボンフルバケットシート(レザー×レーステックス)・911ロゴヘッドレスト刺繍(シェードグリーン)・専用レザー/レーステックスインテリア(シェードグリーンステッチ)・ヒーター付レーステックスGTスポーツステアリングホイール(シェードグリーンセンタートップマーキング)・ブラックブラッシュドアルミニウムデコレイティブインレイ ※オプション装着前仕様・アルミニウム製ペダル/フットレスト(ブラックアルマイト/ナノコーティング加工)・アルミニウム製PDKセレクターレバー・ロゴエンボスコンパートメントリッド・限定ナンバー入りアルミニウム製911Dakarバッジ(助手席側)・BOSEサラウンドサウンドシステム

1980年代は「911」と「ポルシェ」にとっては、苦しい時代を何とか耐え抜いて迎えた革新の時期となる。1970年代に「911」を主軸に置いた政策からの脱却を目指し、ポルシェ一族から経営を引き継いだエルンスト・フールマンが「924」「928」という、FRレイアウトと水冷エンジン搭載を特徴とするモデルを軸とする方向へ移行する計画を図る。しかしこの政策はマーケットからの支持を得られず、その上フォルクスワーゲンは1974年に初代「ゴルフ」を、翌年には初代「ポロ」を発表。そのあおりで大幅に縮小された「ビートル」の生産台数により、ポルシェが得られる権利料は減収し業績は悪化、1980年には創業以来初の赤字を計上する。この責任を取って退陣したフールマンに代わりアメリカのキャタピラー社で15年ディーゼル・エンジンのエンジニアとして働いたドイツ・ベルリン生まれのアメリカ人、ペーター・シュッツが就任する。ポルシェに来る直前までケルンのKHD社のエンジン部門の責任者を勤めていたシュッツの起用は、ポルシェ出身ではないことから異例の人事となる。世界最古のエンジンメーカーとして知られるKHDのエンジン部門は、オットー・サイクル(4ストローク)の産みの親、ニコラウス・アウグスト・オットーが創立した会社でかつてはドイツ社とよばれていた。この会社に在籍し、後の自動車史に名前を残した人物にはゴットリープ・ダイムラー、ヴィルヘルム・マイバッハ、エットーレ・ブガッティ、ロバート・ボッシュ等が存在する。ポルシェのCEOに就任したシュッツは「911」のブランド性を重視し、再び「911」を主軸とする政策に乗り出し、それを具体化した「911ターボ・カブリオ・スタディ」を1981年のフランクフルトショーで発表する。前後フェンダーが大きくフレアしたターボ・ボディをもつこのモデルに込められた「カブリオレ」と「4WD」は「911」に革新をもたらす事となる。「911」のオープンモデルといえば、これまで安全に配慮して太いBピラーをロールバー状に残した「タルガ」がラインナップされていた。「911」の最大マーケットとなる北米からは「356」時代に存在していたフルオープンモデルが待望の一台とされる中で、1982年から「911SCカブリオレ」として市販に移されると、好評をもって迎えられるとともに「911」のイメージアップにも大きく貢献する。もう一方の「4WD」モデルについては「911ターボ・カブリオ・スタディ」製作に先立ち、研究開発担当役員だったヘルムート・ボットが、19811月に「アウディ・クワトロ」の初陣を見る為に、自ら「アウディ・クワトロ」を走らせモンテカルロに向かうところから始まっている。モンテカルロ・ラリーでのその活躍ぶりや、雪と氷上に於ける「アウディ・クワトロ」の4WDによるパフォーマンスはボットに深い感銘を与えた。すぐに「911」の4WD化を試みるボットの研究は、完成された「911ターボ・カブリオ・スタディ」に活かされる事となる。トルクを前後に配分する方法については試行錯誤が続き、ヴァイザッハだけではなくオーストリアの雪上でも行われた。テストが進む1982年には、FIAから新たなレギュレーションが発表され、200台の生産車でホモロゲーションを得られる「グループB」の運用が開始される。これに向けてヘルムート・ボットは、マンフレート・バントルをチーフ・エンジニアに置いて、4WDの駆動系を採用する「スーパー・ポルシェ」の開発を推進する。「911」のスチールセンターモノコックを使い、それを覆う空力的なボディは軽量素材を用いて、前後ダブル・ウィッシュボーン式+コイルスプリングの足回り、エンジンはレーシングモデル「956」用をベースとする水冷DOHCヘッドのフラット6ツインターボで駆動系はもちろん4WDとされた。バントルを中心とする開発チームは実質半年という短い開発期間で、この「スーパー・ポルシェ」のコンセプトモデルを1983年フランクフルトショーで「グルッペB(ドイツ語でグループB)」として発表する。特に小径多板クラッチを採用するセンターデフ(PSK=ポルシェ・スタック・クラッチ=油圧で多板クラッチの締結力を変え前後トルク配分を調整する仕組み)を備える、電子制御式フルタイム4WDシステムは1984年の「パリ-ダカール・ラリー」に参戦する「ポルシェ953」に搭載され実戦投入される事となる。これは前年に「メルセデスベンツ・ゲレンデヴァーゲン」で優勝したジャッキー・イクスの奨めと、イクス自身によるロスマンズというスポンサーの確保が後押ししていた。「パリ-ダカール・ラリー」に参戦する「ポルシェ953」は「911」に「カレラ」の名前が復活した1984年式のボディをベースに、生産型ホワイトボディから3台が製作された。ロスマンズ・カラーに塗られた「ポルシェ911カレラ」そのままのボディは、最低地上高27cmが確保され、サーキットレースで見慣れた「911」が、大径のダンロップ製デザートタイヤを履く姿は当時は場違いな感じが否めなかった。軽量素材によるボディパネルと軽量孔が開けられた前後バンパー、10mm厚のアンダーカバーを装備し、4WDシステムを加え1210kgに仕上げられている。エンジンは基本的にはノーマルの3164cc・空冷フラット6エンジンとなるが、現地の低品質ガソリンを考慮し圧縮比を10.3から9.7に落としている。その為、最高出力は本来の231馬力から225馬力にデチューンされている。「スーパー・ポルシェ」のプロジェクトから移植されたフロントサスペンションは、ツインコントロール・アームとビルシュタイン製ツインダンパーを装備。リアは「911ターボ」のものをベースとしたトレーリング・アーム式とされシングルのビルシュタイン製ダンパーを備えている。4WDのセンターデフはコックピットから調整可能とされ、ポルシェは最悪の条件の中で最大限のトラクションを稼ぎ、最も過酷なラリーでの開発実験を行いながら勝利も目指していた。エントリーされたドライバーは、前年優勝者のジャッキー・イクス、1981年にレンジローバーで優勝したレネ・メッジ、ポルシェ のエンジニア、ロランド・スクモウルの3名でそれぞれナビゲーターを同乗させている。198411日のパリ、コンコルド広場から第6回「パリ-ダカール・ラリー」のスタートが切られた。この年の「パリ・ダカ」は、スタートした後フェリーでアルジェに渡り、サハラ砂漠を縦断してニジェールのテネレ砂漠を周回し、オートボルタ、ガーナ、コートジボアール、ギニア、シェラレオネ、ガンビアを通過、最終的にセネガルの首都ダカールにゴールするというルートを辿り、総走行距離約12400kmでゴールは120日となる。ラリーは、サハラ砂漠に入ってメッジがトップにたつが、イクスは配線がショートし電気系がダウン。追いついたスクモウルのクルマにもスペアパーツがなく、サポート隊の到着まで5時間もロスしてしまう。それでもイクスは諦めることなく、メッジを遥かに上回るペースで砂漠を激走する。次々とSSでトップタイムを記録し、一時は7位まで順位を上げる。しかし高速走行中に、今度は穴を避け損ないフロント・サスペンションにダメージを負ってしまい、再びサポート隊到着までタイムロスしてしまう。既にこの時点でリタイアするクルマも多く、順位は大きく落とさずに猛烈なペースで追い上げて6位でフィニッシュ。メッジは大きなトラブルも無いままトップでゴールを迎える。スクモウルは、残り4日という時点で7位を走行中、転倒し大きく遅れるが28位でフィニッシュする。ポルシェの「パリ・ダカ」初挑戦は、開発途上の4WDでも充分な収穫を得る事に成功する。このラリーでの経験を活かして、革新の技術を結集して開発が進められた4WDシステムをもつ「スーパー・ポルシェ」は、1985年のフランクフルトショーで「ポルシェ959」としてデビューを飾る。そのボディデザインと高い性能から大きなインパクトを残し、新たなる「911」の未来の扉を開く。そして再びポルシェは「911」を主軸とするラインナップを展開することで、今につながるブランドアイデンティティを確立することとなる。今回入荷した2024年式「ポルシェ911ダカール」は、1984年に初めて参戦した「パリ-ダカール・ラリー」でポルシェに勝利をもたらした「ポルシェ953」をリスペクトし、202211月のロサンゼルス・オートショーで発表されたモデルとなる。発表時には「ラリーデザインパッケージ」といわれるオプションとして用意される、当時の優勝車両を模した「ロスマンズカラー」風のペイントを纏ったモデルも展示された。「911ダカール」のベースとなるのは第8世代目の「911」となる「992型・前期モデル」の「911カレラ4GTS」で、シリーズ中「911ターボS」「911ターボ」に次ぐハイパフォーマンスモデル。これまでもそのシリーズの最後発モデルとして登場してきたグレードで「992型・後期モデル」からは「Tハイブリッド・システム」とよばれる「電動ターボ」と「変速機内蔵モーター」による電動化技術が導入されハイブリッド化される。「911ダカール」開発にあたり、駆動系に大きな変更は無くエンジンパワー、発生トルクも同じだが、何よりも「953」を強くイメージさせる高い車高は、ベースモデルより50mm高い161mmの最低地上高を確保し、16mm短縮されたフロントオーバーハングとの相乗効果からアプローチアングルは8°から16.1°と大幅に向上している。エクステリアで目をひくのは、強化鍛造アルミアイレットを備えるステンレス製フロントプロテクションやホイールアーチ部のクラッディング、専用ステンレス製インレイ付きサイドスカート、そしてテールパイプトリムとインタークーラーアウトレットを一体化したステンレス製リアエプロンとなる。固定式となる前後に装備されたステンレス製の赤いトウフックも、機能はもちろんプロテクション部分のアクセントとしても効いている。エンジンマウントは「911GT3」用のハードなものに変更され、エンジン上部に2つ装備される廃熱用ファンは「911ターボ」用の容量の大きいものが採用されている。ボディフォルムはベースとなる「992型」そのものだが、驚くほど軽量に出来ているフロント・フードには「911GT3」と同様のエアアウトレットが設けられている。ラジエーターとブレーキを冷却したエアをこのアウトレットから排出することで、フロントアクスルのダウンフォース量は2倍に高められている。リアに装備される固定式ウィングは「911ダカール」専用にデザインされたもので、この二つの空力パーツはカーボンファイバー製となる。軽量化にも抜かりなくこの他にも遮音材を一部省略し、軽量ウィンドウや軽量バッテリーが装備され、車重はベースモデルの「911カレラGTS」から10kg増に抑えられている。僅か2500台の限定生産モデルとなる「911ダカール」だが、単なるエクステリアデザインだけに留まる事無く、ポルシェらしくこだわりの造り込みを感じさせるモデルとなる。この「911ダカール」の登場により旧来の「911」の世界は更に拡張され、本来持っていた実用性の高さと高性能に加え、本格的に広い行動範囲とユーザビリティを手に入れる事に成功している。またブランドアイデンティティとなる「911」は、スポーツカーの古典として代表的なモデルでありながら、現代の主流となりつつあるSUVとしての要素を柔軟に取り込みながら、時代に対応し「911ダカール」として自身のヘリテイジを後ろ盾に登場させる事で新たなる可能性も見せている。911ダカール」が搭載するエンジンは、水冷水平対抗6気筒DOHCツインターボとなり、ボア×ストローク91.0mm×76.4mmから2981ccの排気量を得る。10.2の圧縮比をもち、ターボ過給圧は1.28バールに設定され、最高出力480馬力/6500rpmと最大トルク58.1kgm/23005000rpmを発揮する。このエンジンには「ヴァリオカムプラス」とよばれるエンジン回転数と負荷に応じて、吸気カムシャフトのタイミングとリフト量を切り替える機構が採用されている。これにより現代のターボ過給エンジンらしく低回転域から充分なトルクを感じさせるが、2000rpm迄はそれ以上の回転域での豊かなトルクを味わってしまうとやや細く感じてしまうかもしれない。20005000rpm迄の回転域では、施されているサウンドチューンの効果で気持ち良く使うことが出来、それ以上になると自然吸気エンジンの様に、レスポンスとサウンドは高まりを見せる。またオフロード走行時の、微妙なスロットルワークに応えられる様に、エンジンマウントは固められ、泥濘路や砂地にトラクションを奪われた時を想定し廃熱ファンは「ターボ」モデル用の強化タイプが用いられている。組み合わされるトランスミッションは8段デュアル・クラッチ式ATの「PDK(ポルシェ・ドッペル・クップルング)」となり、電子制御多板クラッチによるセンターデフをもつ「PTM(ポルシェ・トラクション・マネージメント)」により走行状況に応じてフロントにトルクを最大50%供給する4WD駆動システムが採用されている。足回りはフロントにマクファーソン・ストラット式+コイルスプリング、リアにマルチリンク式+コイルスプリングを基本とする。「911」のスポーツ・サスペンション装着車に対して車高は40mm高い設定とされ、前後サスペンションには専用の油圧式リフターを装備する。これによりさらに30mmのリフトアップが可能となる。それにあわせてサスペンションストロークは長くとられ、スプリングレートを50%も下げた柔らかいバネが組み合わされている。PDCC(ポルシェ・ダイナミック・シャーシ・コントロール)アクティブロールスタビライザーを装備する為、ロールを抑制しながらコーナリングを楽しむ事も可能となる。+30mmのハイレベル・モードは車両速度が170km/h迄の走行を可能とし、それ以上の速度になると自動的にノーマル・モード迄下がり走行安定性を保持する。リア・アクスルステアを装備する為、50km/h以下では2.8°までの逆位相、それ以上では同位相にリアタイヤを作動させ、安定したコーナリングをサポートする。ブレーキは前後ともにドリルド・ベンチレーテッド・ディスクを装備し、サイズはフロントに350mm×34mm径、リアは350mm×28mm径となる。それぞれブレーキ・キャリパーは対向6ポッド、4ポッドのアルミモノブロック・キャリパーが組み合わされ、ABSが備わる。ホイールは軽合金鍛造製でフロント19インチ径×8J、リア20インチ×11.5Jの前後異径サイズとなり、組み合わされるタイヤはフロントに245/45ZR19 102V、リアは295/40ZR20 110Vとなる。「911ダカール」の見た目の大きな特徴ともなるこのタイヤは、専用開発されたピレリ製スコーピオン・オールテレイン・プラスで、サイドウォールもトレッドも2層カーカスプライで強化され、高いグリップとオフロード走行時の大きな入力にも対応する設計となっている。トレッド面のブロック部分の高さは9mmと設定されている為、サスペンションでの+40mmと合わせると全高は約50mm高く設定されていることになる。インテリアはメーター周りも含めて「911」そのもののレイアウトが採用され、リアシートは省略されて乗員は2名となる。ドライバー正面には大径のタコメーターがレイアウトされ8000rpmまで刻まれたメーターは、7400rpmからレッドゾーンとなっている。電動調整可能なバケット型シートやステアリングなど、アルカンターラより少し粗めのスウェードの様な質感をもつ、軽量なRace-Tex素材が広い範囲に採用されている。ステアリング裏には左右に変速用のパドルが装備され、ステアリング右斜め下方には、ドライビングモードの切り替え用のロータリースイッチがレイアウトされている。ドライビングモードは「ノーマル」「スポーツ」「ウェット」に、リア寄りのトルク配分の4WDで起伏のある緩い地面に対応する「ラリー」と、車高が自動的に上がり難易度が高い地形や砂地でのトラクションを確保する「オフロード」が加えられている。またその2つのドライビングモードには「ラリー・ローンチコントロール」が備わり、約20%のホイールの空転を許容しながら緩い地面での抜群の加速を可能としている。助手席手前のダッシュボード上には「911ダカール」のエンブレムがレイアウトされ、そこにはシリアルナンバーが付けられている。全長×全幅×全高は、4530mm×1864mm×1338mm、ホイールベースは2450mm、トレッド前1620mm、後1570mm、車両重量1620kgとなっている。前後重量配分は39:61で、燃料タンク容量67、最小回転半径5.3m、新車時販売価格は3099万円となる。メーカー公表性能値は、0100km/h加速は、ベースモデルの「911カレラ4GTS」から僅かに0.1秒遅れる3.4秒、0200km/h加速12.0秒、最高速度はオールテレインタイヤを考慮し240km/hに制限されている。194868日、ポルシェは社内開発コード「356.00.105」とよばれる「ポルシェ356」のプロトタイプ1号車に公道走行許可が与えられると、早速同年81日にインスブルックで開催された公道レースにエントリーし、好タイムを記録する。戦火を逃れてオーストリアのグミュントに移設されていたポルシェ設計事務所で開発されたこのプロトタイプは「グミュント・ロードスター」とよばれ、レースを実験・開発の場として活用するという基本姿勢は、この誕生年から貫かれ続けている。1984年の「953」による「パリ-ダカール・ラリー」初参戦にも、それまで成長・進化を続けてきた「911」に「4WD」という新たな機能を付与する為の重要な実験・開発という目的が込められていた。世界で最も過酷な冒険的な意味合いも含まれる、当時の「パリ・ダカ」には、背の高い厳つい四角いボディの4WD車両が多く参加し、その中で見る「953」は全く場違いでしかなかった。しかし多くの予想を裏切って勝利を手にしたそのメカニズムは「959」を皮切りに、その後のモデルチェンジを機に「964カレラ4」に継承され、その流れはSUVブーム拡大の波に乗り「カイエン」まで辿り着く。また「911ターボ」も、水冷化されたエンジンを搭載する「996ターボ」から4WD化されることで、そのキャラクターの更なる明確化が図られている。ポルシェに於ける4WDの重要性は、充分に理解していてもこの「911ダカール」を誰が予想出来ただろうか?「953」に感じた違和感が全く無いのは、様々な車種が混在するという時代の変化の成せる技なのだろう。「911」としては高い位置にあるドアを開けて乗り込むのに、それほどの苦労はいらない。シートにおさまれば全く見慣れた「911」の世界が広がる。ステアリングを通して正面に、映像では無く物理的な大径のタコメーターが残されているのがありがたく感じられる。今回入荷したモデルは右ハンドル仕様なので、ステアリングコラム右側にあるスタータースイッチを回してエンジンを始動する。リアシートが無い事にもよるが軽量化の為に遮音材が省かれ、硬めのマウントが採用されていることによりフラット6エンジンのサウンド、バイブレーションがキャビンに響く。走らせ始めるとステアリングの感覚、エンジンの吹け上がり方、加速時に感じるリアのエンジンの存在感は、全く「911」そのもので精緻なフィールとなる。今や「マカン」の運動性能も相当秀でているが「911ダカール」は、別の次元に存在する。スポーツモデルでありながら、高い車高による良好な視界や段差に気遣うことなく走行でき、長めのストロークを感じさせるサスペンションの柔らかさや、穏やかなロール・ピッチングは、良い意味でのおおらかさも含む。この穏やかな乗り心地よりダイレクトなスポーツカーらしさを求めるなら、ドライビングモードで「スポーツモード」を選択し、PDCCのスイッチをオンにすれば、ロールは抑えられダンパーが硬くなりキビキビとした走りを味わうことも可能となる。この状態でワインディングロードを走らせると、どんどん車体は小さく感じられタイトコーナーではリア・アクスルステアとトルクベクタリング(PTV Plus=ポルシェ・トルクベクタリング・プラス=電子制御式LSDを活用し、高い旋回性と安定性を両立する機能)により「911」らしい旋回性能を楽しむことも出来る。一連の動きの中での姿勢変化や、モーションの大きさが走行中の車両の状況をとても掴みやすく感じさてくれるのは「911ダカール」ならではとなっている。このドライブフィールが車両との距離感を縮めてくれることによりドライバーは大きな楽しみを得ることになる。「911ダカール」が見せてくれる「911」の世界は、ここまで生産され続けてきた「911」の新たな可能性を感じさせるものとなっている。これから先も弛むことなく正常進化を続けていく「911」は、また革新的な技術を実戦に投入しながら、その性能を磨き続けていく事になる。まだ見ぬ未来のモデルでも「911」を名乗るなら誕生以来、継承されたリアエンジンによる圧倒的なトラクションと精緻なドライブフィールをもつところに変化は無く、常にスポーツカーの頂点に君臨し続けるモデルとなるだろう