新車
190SL
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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
190SL
ボディタイプ
外装色
アイボリー
年式
1963 年型
走行距離
不明
乗車定員
3 名
サイズ
長 429 cm 幅 174 cm 高 132 cm
エンジン形式
排気量
1897 cc
馬力
105
トルク
14.2
車検
令和7年7月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
レッド
燃料区分
ガソリン
幌色
レッド

第二次世界大戦の戦時下で、工場の大半を失ってしまったメルセデスベンツは、戦前に築いた数々の輝かしい戦績も遥か遠くに想うだけのものでしかなく、彼らのレーシングヒストリーは完全に途絶えていた。そんな中で、再びサーキットでの栄光を手にするべく会社を立て直し、テクニカルディレクターのルドルフ・ウーレンハウトを中心として1952年、グランプリ用フォーミュラーとなるW196型と、W194型レーシングプロトタイプの開発が行われた。このW194型レーシングプロトタイプは、高剛性チューブラーフレームとマグネシウム合金(エレクトロン)製ボディにより僅か870kgの軽量ボディを活かし、ル・マン、カレラ・パナメリカーナ、ミッレミリアで次々に好成績をおさめる事となる。そんなW194型の活躍に着目し、このレーシングプロトタイプをベースとした量産モデルの生産をメルセデスベンツに要請し、オーダーまで入れるという行動をおこしたのがニューヨークで自動車ディーラーを営むマックス・ホフマンだった。こうして誕生した「300SL(W198)」は、プロトタイプと同じイメージのボディをもち、初代「SL」として量産される。マックス・ホフマンはメルセデスベンツ以外にも、ポルシェには「356スピードスター」を、BMWには「507」の製作を依頼した人物でもあった。メルセデスベンツの「SL」とは「Sport Leicht(シュポルト・ライヒト)」のイニシアルとなり「軽量なスポーツカー」を意味している。量産モデルの「300SL」はプロトタイプと同じくマルチ・チューブラー・スペース・フレームを採用しながらも、ボディはアルミ製とされ量産車としての快適装備や防音材などにより1.3トンの車両重量となった。それでもディーゼル技術から転用されたボッシュ社との共同開発による、ガソリン量産エンジンとしては初の燃料噴射装置を備え、ドライサンプ式とされた直列6気筒SOHC3エンジンを搭載し215馬力を発揮するセンセーショナルなモデルであった。「SL」の車名に相応しい運動性能と最高速度260km/hを標榜する比類なき高性能を備え、高目のサイドシル下にもトラス構造のスペースフレームが存在する事から、特徴的なドア形状とされ「ガル・ウィング」というニック・ネームが付けられた。モータージャーナリストの小林彰太郎は、1962年に自動車専門誌カーグラフィックを創刊するにあたり、この「300SL」の動力性能テストを掲載するべく友人を通じて奇跡的に借り出す事に成功した。そしてそのインプレッションの冒頭で「メルセデスベンツ300SLのハンドルを握って思い切り飛ばす事、それは恐らくすべてのスポーツカー愛好家の見果てぬ夢に違いない」と綴っている。「300SL」は1954年のニューヨーク国際オートショーでデビューすると瞬く間にアメリカで人気となった。このショーで「300SL」とともに発表されたのがオープンボディをもつW121型とよばれる「190SL」のプロトタイプとなり、翌年3月のジュネーブモーターショーにおいて生産型が正式にデビューする。「300SL」はアメリカ市場からのリクエストにより、1958年には特徴的なルーフをカット・アウトし女性をエスコートしやすい低いサイドシルをもつオープンモデルの「300SLロードスター」を追加発表する。オープン化に伴いフレームの強度や剛性の低下を補うために各部に補強を加える事でクローズドモデルに比べ100kg以上の重量増となってしまったが、サスペンション特性を変更することで乗り心地の向上もはかられ、よりラグジュアリー色を強めながら、圧縮比を高められたUS仕様の250馬力エンジンが加えられる事により「300SL」の1400台を上回る1858台が生産された。このラグジュアリー化された「300SLロードスター」と量産型から派生する「190SL」の成り立ちが次に続く「230SL(W113)」に集約されながら引き継がれ、現在に続く「SL」の起源となるのかもしれない。スーパースポーツである「300SL」は6820ドルと高額であったにもかかわらず、予想をはるかに上回る成功をおさめた形となったが、第二次世界大戦後のスポーツカー人気が高まるアメリカでのシェア拡大を狙って製造された「190SL」もそれを上回る成功をメルセデスベンツにもたらす事となる。W120型とよばれたポントンセダンの愛称で親しまれる「180」セダンをベースに開発され、車名に含まれる「SL」のネーミングに相応しくベースモデルに比べ250mm短縮されたホイールベースもち、チューンナップされたエンジンを搭載することで高い運動性能をもっていた。「300SL」のイメージを落とし込んだエクステリアデザインは、メルセデスベンツ社内デザインスタジオのカール・ウィルフェルドを中心に行われたといわれている。4000ドル以下という価格設定により1963年までに25881台が生産され、そのうちの8割にあたる台数が輸出され、更にそのなかの4割はアメリカで販売され好評を博した。「190SL」のエンジンは「180」セダン用のエンジンをベースとしたM121型とよばれるもの。ベースエンジンは、同じ水冷直列4気筒ながらサイドバルブ式で1767ccの排気量をもっていたが、SOHC化されボア・ストローク85.0mm×83.6mmから1897ccと改められ「190SL」に搭載された。6.7だった圧縮比も8.5に高められソレックス製44PHHツインチョークキャブレター(今回入荷した車両にはウェバー製ツインチョークキャブレターが装備される)2基装備しベースエンジンの倍近い105馬力/5700rpm14.5kgm/3200rpmのトルクを発揮する。このエンジンのパフォーマンスは、同時代の「トライアンフTR3」の2OHVエンジンの95馬力や、「オースティンヒーレー100」の2.7OHVエンジンの90馬力と比べると、ハイチューンなのがわかる。このM121型エンジンの圧縮比は57年のマイナーチェンジ時に8.7に高められ、更に60年以降のモデルでは8.8とされるが、エンジン出力値に変更は無い。組み合わされるトランスミッションは4速フルシンクロのマニュアルトランスミッションとなる。190SL」はフロアユニット、フレーム、足回りを「180」セダンから流用され、セミモノコック構造のボディをもち、ドア・ボンネット・トランクリッドは軽量なアルミ製となっている。デビュー間も無い1955年秋からデタッチャブル・ハードトップモデルが加わりロードスター・モデルと併売されるが人気は、ハードトップ・モデルに集中した。1956年にはマイナーチェンジが行われ、テールランプが大型化、ホイールアーチとサイドシル部分、ストーンガード部分にクロームのトリムが付けられた。1960年以降のモデルでは「300SLロードスター」に装備されたものに倣ったデザインのハードトップが採用された。リアウィンドウがサイドまで回り込んだパノラミック・ウィンドウとなりリアの視界が広くなった。耐候性の高いハードトップは、前方3点、後方2点のフックとサイドのボルトで固定されている。フロントサスペンションはコイルスプリングとテレスコピックダンパーによるダブルウィッシュボーン式、リアはシングルピポッドのスウィングアーム式となる。ブレーキは4輪ドラム式となり、タイヤサイズは前後とも6.40-13サイズとなっている。インテリアは、ウィンカーレバーを兼ねたクラシカルなホーンリングを持つ細身の大径ステアリングを通して、左に7000rpm迄のレブカウンター、右に210km/h迄のスピードメーターが並び、メーターはともにVDO製となる。ボディ同色に塗られたダッシュボードとボルドーの内装カラーのコントラストが美しく、クロームメッキされたメーターリングやトグルスイッチ類がアクセントとなり、製造された時代を感じさせる。ダッシュボード上に配置されたルームミラーはじめ、大小メーター類のレイアウトは「300SL」に倣ったものとなっている。グローブボックスに埋められた時計は56年のマイナーチェンジ時に追加されたもので、より「300SL」の雰囲気に近いテイストをもつ。このマイナーチェンジ時にシートデザインと一部ベンチレーション・システムが改善され、より近代的にアップデイトされたものとなった。全長×全幅×全高は、4220mm×1740mm×1320mm、ホイールベースは「300SL」と同じ2400mm、トレッド前1430mm、後1480mm、車両重量1160kg。燃料タンク容量65、最小回転半径5.5mとなっている。メーカー公表性能値は0100km/h加速14.5秒、最高速度は、100mph(160km/h)出れば高性能スポーツカーといわれた時代に180km/hを標榜している。「190SL」のふくよかなボディデザインは50年代の柔らかさを感じさせる。ドアを開いてドライバーズシートに腰を下ろしダッシュボードまわりを見渡せば「300SL」にそっくりなメーターレイアウトとクロームの輝きが華やかでいながらシックにおさまる。前方に視線を移せばフロントウィンドウ越しに左右のフェンダーとボンネットセンターにあるパワーバルジを臨む事でスポーティな車に乗っている事を改めて実感するだろう。イグニッションキーを捻りステアリングホイール右下のスターターボタンを押すとエンジンがかかり、まろやかな音でアイドリングが始まる。時代を超越した「300SL」のボディデザインを落とし込んだエクステリアデザインをメインで語られる事が多い「190SL」ではあるが、街乗りで扱いやすく、その上想像以上に「SL」の車名に相応しく車体を軽く感じられるくらい、エンジンの出力には余裕がある。レスポンシブと呼ぶには些か抵抗はあるが、低速トルクに不足は無く50年代に設計されたものとは思えない、高品質なメルセデスベンツらしい快適性とスムーズさが味わえる。細く長めのチェンジレバーは軽く4速フルシンクロを備える為、マニュアル操作は負担にはならない。やや重めのブレーキとリサーキュレーティング・ボール式のステアリングは年式を感じられるところとなるかもしれない。少しバタつく乗り心地は、メルセデスベンツにしては、ソフトなクッションのシートに助けられ不快とまでは感じないと思う。耐候性に優れた高品質のハードトップが付いているが、やはりオープントップで走らせる「190SL」の開放感を味わって欲しい。フルオープンでこれからの季節、色づく木々の変化を慈しむくらいのスピードで走らせるシチュエーションは、格別なものとなる。風で季節を感じながら街角にあるショーウィンドウに映る「190SL」のサイドビューを見るたびに、気持ちの高まりを感じられる事だろう